ルノー ルーテシアRS 新型、F1ドライバーの攻めにも負けないシャーシ性能

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ホイールリムが路面すれすれの状態でもホールディングは失われない。
ホイールリムが路面すれすれの状態でもホールディングは失われない。 全 22 枚 拡大写真

ルノージャポンは10月14日、東京・お台場の「モータースポーツジャパン」会場で、11月14日発売予定のハイパワーコンパクトスポーツ『ルーテシア・ルノースポール(RS)』を公開した。

◆デイリーユースやサーキットランまでを幅広くこなす万能スポーツ

ベースモデルの『ルーテシア(欧州名クリオ)』は日本車ではホンダ『フィット』やスズキ『スイフト』と同格の欧州Bセグメントのコンパクトハッチ。そのルーテシアをルノーのモータースポーツ子会社、ルノースポールが入念に改設計を行うことで生み出されたホットハッチがルーテシアRSである。

200ps/24.5kgmを発生する1.6リットル直噴ターボ、ラリーで使用実績を積んできたサブダンパー付き可変ショックアブゾーバー、大容量320mm径フロントディスクブレーキなどが装備され、デイリーユースやグランドツーリングからサーキットランまでを幅広くこなせるのが特徴。

欧州市場では今、このクラスのハイパフォーマンスモデルのバトルが燃え上がっており、フォルクスワーゲン『ポロGTI』、プジョー『208GTi』、BMW『ミニ・ジョンクーパーワークス』、アルファロメオ『クアトロヴェルデ』など、強力なライバルが目白押しである。

そのなかで際立つ走りを実現させるべく、フォーミュラ、ラリー、ツーリングカーなどルノースポールの各部門のレースエンジニアたちが知恵を出し合い、F1パイロットをはじめドライビングのエキスパートの協力も得ながらシャーシチューニングを行ったという。ちなみにルーテシアRSは後改造モデルではなく、ルノースポールのレーシングマシンファクトリー、ディエップ工場のラインで新車として組み立てられる。

◆ロータスF1のロマン・グロージャン選手が乗りこなす

発表会場では、ルノーエンジンを搭載するロータスF1のドライバーで、前日にF1鈴鹿グランプリで3位に入賞したロマン・グロージャン選手がドライビングパフォーマンスを行った。新型ルーテシアRSには公道走行重視の「シャシースポール」とサーキットラン重視の「シャシーカップ」があり、グロージャン選手が駆ったのは後者。

トラクションコントロールを切り、派手なホイールスピンで白煙を上げながら走るなど、エンターテインメントを重視したパフォーマンスだったが、コーナリング速度はきわめて速く、ターンインの鋭さはニュルブルクリンクにおいてFWD(前輪駆動)の市販車世界最速ラップを記録した兄貴分の『メガーヌRS』にも引けを取らないように見受けられた。

コーナリングの写真を何枚か撮ってみたのだが、後で拡大してみたところ、路面摩擦でタイヤの接地面から煙が出るほどの高G旋回下でも前輪は内、外ともロードホールディングがしっかり保たれる一方、ジャッキアップ(コーナリング時に車体後部が浮き上がる現象)も最小限に抑制されており、前につんのめったり後内輪が浮き上がったりといった挙動がほとんど起こっていないことが見て取れた。実際、試走中にオーバーステアとなったのはグロージャン選手がわざとやったときだけだった。

◆シャシースポールが299万円、シャシーカップが309万円

ルーテシアRSの価格は、シャシースポールが299万円、シャシーカップが309万円。Bセグメントモデルとみれば非常に高価だが、レーシングカーづくりののプロフェッショナルたちによって一台ずつ入念に製作されたスペシャルメイドモデルとみれば非常に安価ともいえる。

峻険なアルプスの峠も制限速度が90~100km/hという欧州と異なり、日本ではその走りを楽しむ場所を見つけるのにも一苦労というもの、サーキットランや60km/h制限でも十分に楽しめるようなタイトコーナーの連続する峠でのスポーティドライビングを楽しみたいユーザーにはとても興味深いモデルであるように思えた。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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