ライバルはエリクソン・HUAWEIなど…NECのテレコムキャリア事業戦略

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NEC 執行役員常務 手島俊一郎氏
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 22日、NECは「テレコムキャリア事業中期成長戦略」に関する発表を行った。また、同日にリリースされたvEPCソリューションについても簡単なデモと説明も行った。vEPCは、今年のMobile World Congressでもアナウンスされていた技術だが、新しい成長戦略の要となる技術のひとつである。

 事業戦略のプレゼンテーションを行ったのはNEC 執行役員常務 手島俊一郎氏だ。NECは4月の段階で「2015年中期経営計画」を発表しており、その中で、今後の成長分野として社会ソリューション事業への注力を謳っている。社会ソリューション事業とは具体的には「パブリック(防災・セキュリティなど)」「テレコムキャリア」「エンタープライズ」「スマートエネルギー」の4つの分野である。

 手島氏によれば、今回の「テレコムキャリア事業中期成長戦略」も、この中期経営計画の一環であり、とくにテレコムキャリア事業についての戦略を説明したいというのが、今回の説明会の目的だという。NECでは、新興国市場の成長、国内市場の伸び悩みといった市場環境から、テレコムキャリア事業においては、国内外ともにTOMS(Telecom Operations Management Systems)市場とSDN(Software Designed Network)市場に機会があるとみている。TOMS市場のうち、OSS/BSS(Operation Support Systems/Business Support Systems)を一体化した分野では年成長率が16%という伸びを見せており、キャリア向けのSDN/NFV(Network Funcitions Virtualization)市場は、グローバルで2013年の19億ドルから、2017年には113億ドルに達するという予測もある。

 TOMS市場に対しては、2008年に買収したNetCracker社のOSS製品と2012年に買収したConvergys社のBSS製品の競争力やグローバル体制を活用する戦略だ。NetCrackerとConvergysはすでに事業統合され、国内外で7,000名のソリューション提供スタッフと58か国、250社以上の顧客ベースのビジネスを展開さている。これにNECのSI事業のノウハウを合体させカスタムベースのソリューションにも対応するという。

 SDNについては、NECのキャリアビジネスでの実績や技術と、SDNコミュニティへの長年の貢献を市場での強みとして展開していく(手島氏)という。OpenFlowを実装した製品をいち早く市場投入したのはNECであり、今回発表したvEPCもLTEなどモバイルネットワークの仮想化に応用可能なソフトウェアスイッチも、汎用サーバーでキャリアグレードのデータ交換が行えることが他社にない機能的特徴として差別化を図る。NECのvEPCは、KVMをチューンした仮想化サーバーにIntel DPDKを実装し、汎用サーバーによるソフトウェアスイッチながら、制御系だけでなく、データ転送もキャリアニーズに対応するものとしたという。

 SDNのグローバル展開に向けては、欧州に開発・営業拠点(SDN Technology and Marketing Centre)を設け商用化を推進していく。すでにNTTコミュニケーションズのクラウド、ミャンマー郵電公社のLTEシステム向けのvEPCソリューション、フランス テレフォニカでは、宅内のホームゲートウェイ管理のソリューションとしてvCPEの実証実験契約を結んでいる。

 NECでは、TOMSソリューションとSDN技術によって、テレコムキャリアのコアネットワーク、モバイルバックホール、ワイヤレスブロードバンドを中心に、M2Mサービス、クラウド基盤サービス、統合的な運用管理をエンタープライズやパブリックの領域まで広げたいとする。その目標は、2015年には事業売上で8,000億円、営業利益率10%とする(手島氏)という。また、海外の売り上げ比率も36%を、事業売上のうち25%はTOMS/SDNビジネスでまかなう形を目指すという。

 手島氏は、目標達成のため2014年までの3年で400億円程度の投資がかさむが、成長分野であるため達成は可能とみている。

 しかし、手島氏が「TOMS分野だけならIBMやHPもライバルとなるが、SDNやプロダクツを含めてとなるとエリクソンやHUAWEIが競合相手となるだろう。」と述べるように、NECの社会ソリューション事業へのシフトが成功するかは、グローバル市場での価格競争力以上の技術力や付加価値がだせるかどうかにかかっている。

《中尾真二@RBB TODAY》

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