宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、能登空港で行った騒音源計測試験に、「飛翔」が参加したと発表した。
小型ジェット機を使った騒音源計測試験はこれまで、大樹航空宇宙実験場で行ってきたが、能登空港で実施したのは今回が初めて。
飛翔を使って騒音源計測試験を実施したのも初めて。将来計画している飛翔に騒音低減技術を適用した技術を実証する準備として、飛翔そのものの騒音源を詳しく計測して、その騒音レベルと周波数特性を把握しておくために実施した。同時に、今後の騒音源計測試験に向け、計測技術の向上や能登空港での計測手順の確立を目的とした試験に参加した。
この騒音源計測試験は「機体騒音低減技術の飛行実証(FQUROH)」の一環として行ったもの。FQUROHは、航空機の機体から発する主な騒音源である高揚力装置や、降着装置に対する騒音低減技術を開発して、最終的には航空機に実際に取り付けて飛行実証する研究。
騒音の計測は、滑走路横に設置したフェーズドアレイ・マイクロフォンと呼ばれる装置で行った。詳細に騒音を計測するため、縦横35メートルの平らな木製土台を敷き、その上に約200本のマイクを直径30メートルの円内に放射線状に設置した。
飛翔は、マイクロフォンの上空60~120メートルを、水平飛行したり、降下・上昇したり、またフラップや脚を展開したり、エンジンの出力を変えたりと、様々な状態で通過した。
今回は、機体の速度と経路について高い精度が要求されるため、飛翔のコックピット内に「トンネル・イン・ザ・スカイ」(TIS)のディスプレイを設置した。ディスプレイに表示されるトンネルの中を飛行するように操縦することで、想定した経路を通過することができる。
今回の試験は4日間で合計90回計測することができた。計測した膨大な騒音源計測データは持ち帰って、詳細な分析を行なう予定。