【メルセデス CLA 試乗】FRとFF、走りに大きなギャップ…河村康彦
試乗記
輸入車

流麗かつダイナミックなそのルックスは、紛れもなく「好みが分かれる」タイプではあるだろう。何とも若々しい雰囲気を放つインテリアの作りも同様だ。
しかし、同等サイズのモデルと並べても存在感が抜群なのは、4枚ドアの持ち主でも割り切るところはスッパリと割り切ったデザインあればこそ。実際、『Aクラス』よりも300mm以上伸ばされたリアのオーバーハングを備えるゆえトランクルームは広大な反面、後席に乗り降りしようとすれば例外なくルーフに頭を打ちつけそうになるなど、そのパッケージングにはチグハグな一面が。もちろんそれらは、すべてが“確信犯”としての思いによる結果であるわけだ。
1.6リッター・エンジンの「180」が、ノーマルモードでは“アクセル遅開き”傾向が強くて日常シーンで鈍重なイメージが強く、2リッター・エンジンを積む「250」では、逆にそんな「憑き物」が落ちたかのごとくパワフルで俊敏そのもの、というのはAクラスの場合と全く同様。一方、やはり「Aクラスと同様」で嬉しくないのは、道が荒れた途端にせわしなく上下動を繰り返す乗り味で、それゆえ動力性能にゆとりが大きい250でも、「ロングツーリングは御免被りたい」という印象だ。
端的に行って、メルセデスの作品はFRベース・モデルとFFベース・モデルで走りの質感が余りに大きく異なっている。後者には、いわゆる「メルセデスらしい上質な乗り味は期待出来ない」というのが、今のところの経験則だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ『ケイマンS』、スマート『フォーツー』、そしてVW『ルポGTI』(ただしドイツ置き去り)。
《河村康彦》