東海道新幹線の軌道回路デジタル化、11月末に完成…着手から14年

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新横浜駅を通過するN700系。11月末に東海道新幹線の軌道回路設備のデジタル化が完成する。
新横浜駅を通過するN700系。11月末に東海道新幹線の軌道回路設備のデジタル化が完成する。 全 2 枚 拡大写真

1999年度から東海道新幹線で進められてきた軌道回路設備のデジタル化が、まもなく完成する。JR東海が10月24日に発表した。変電所の切替用開閉器を制御する軌道回路設備の工事が最終段階を迎えており、11月末に完了する予定。

軌道回路は、レールに信号電流を流すことで列車が特定の区間に存在(在線)するかどうかを検知する電気的な仕掛け。東海道新幹線では、走行中の新幹線列車が変電所の供給区域をまたぐ際、切替用開閉器を用いて高速走行のまま電源を瞬時に切り替えており、そのための在線検知に軌道回路を用いている。

軌道回路のデジタル化は、従来の機械的なスイッチ(リレー接点)と異なり機械的な駆動部分がなくなるため、故障しにくくなるという利点がある。。また、信号電流のデータを総合指令所などで常時監視することで、異常が発生する前に点検などを行うことができるほか、故障発生時も総合指令所などで故障した部分を特定できるようになる。

デジタル化にあたっては、まず自動列車制御装置(ATC)の新システムへの更新を1999年度から2005年度にかけて実施。約400億円かけて軌道回路の信号をデジタル化した。これによりスムーズなブレーキ制御による乗り心地の向上や、ダイヤの弾力性の向上を実現。N700系から導入している車体傾斜システムや、N700系1000番台(N700A)に搭載した定速走行装置も、新ATCの技術を用いている。

2011年5月からは、変電所の切替用開閉器を制御する軌道回路のデジタル化に着手した。切替用開閉器を制御する軌道回路は全線で80カ所あるが、このうち66カ所は既にデジタル化されたATCと軌道回路を共用していることから、約10億円かけて切替用開閉器のみ制御している14カ所の工事を進めてきた。工事は11月末に完了する予定で、これにより東海道新幹線の軌道回路設備のデジタル化が完成する。

《草町義和》

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