昇降バー式ホーム柵、相鉄いずみ野線弥生台駅で実証試験開始

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相鉄いずみ野線弥生台駅で10月27日から実証試験が始まった昇降バー式ホーム柵。写真は開いた状態
相鉄いずみ野線弥生台駅で10月27日から実証試験が始まった昇降バー式ホーム柵。写真は開いた状態 全 4 枚 拡大写真

相模鉄道(相鉄)いずみ野線の弥生台駅(横浜市泉区)で10月27日、バー(棒)を昇降させるタイプの新しいホーム柵の実証試験が始まった。従来の可動式ホーム柵に比べ軽量で低コストが特徴。1両分が設置され、約1年間にわたり安全性や耐久性などの検証を行う。

昇降バー式のホーム柵は高見沢サイバネティックス(東京都)が開発。3本のFRP(強化プラスチック)製のバーが上下する形で、弥生台駅下りホームの横浜方に1両分が設置された。車両のドア位置に合わせて4カ所にバーがあり、3カ所は開口幅(バーの長さ)3m、最後部の乗務員室ドアにかかる1カ所は4mで、開いた際の高さ(ホーム面から最下段のバーまで)は195cm。3本のバーは約30cm間隔で配置されており、昇降速度は上昇が3.2秒、下降は安全に配慮しやや長い3.7秒となっている。相鉄によると、開閉操作は車掌が行う。


(動画は筆者撮影)
高見沢サイバネティックスによると、昇降バー式ホーム柵の重量は同じ開口幅の従来形ホームドアと比べ半分以下。従来型の場合、設置の際は深夜などに電車に載せて駅まで輸送する必要があるが、昇降バー式は軽量で現地組み立てができるため、トラックなどで輸送し「エレベーターでホームに運び込める」という。軽いためホームの補強工事なども少なく済み、輸送や設置を含めた全体のコストを大幅に引き下げられるという。軽量だが強度は高く、 乗員含め重量200kgの車椅子が6km/hで衝突しても問題ない設計となっている。

バーの高さは降りた状態で最下段がホーム面から50cm、最上段が127cm。同社によると、最下段のバーの高さは車椅子やベビーカーがくぐり抜けない高さ、最上段は人がもたれかかっても線路に転落しない高さとして設定された。開発当初は上下2本だったが、間隔が広いと下段のバーに座ることができてしまう点や、列車への接触などの可能性を考慮して現在の3本になったという。

バーは身を乗り出している人などがいればセンサーで検知され動かない仕組み。また、万が一上昇時に停電などが起きてもバーは落下せずその場でストップするほか、閉じ込められた場合も手で持ち上げられる構造となっている。

今後は約1年間、列車運行への影響や耐久性、上昇・下降速度の検証などを行う。機構面以外に「上下に動くホーム柵が利用者に受け入れられるか(高見沢サイバネティックスの担当者)」もポイントという。

ホームドアは転落や列車との接触事故防止に高い効果が期待できるものの、設置費用が高額であることや、ドア位置の異なる車両に対応できないといった点が普及への課題となっている。これらの問題に対応する新型ホームドアの開発が国交省の鉄道技術開発費補助金による支援で行われており、8月31日から西武新宿線の新所沢駅で戸袋移動形ホームドア「どこでも柵」が、10月11日から東急田園都市線のつきみ野駅で昇降ロープ式ホーム柵が、それぞれ実証試験を開始している。

国交省の資料によると、2012年度末のホームドア設置駅数は全国で564駅。ホームで乗客が列車と接触したり、転落したりする事故は2002年度が113件だったのに対し、2011年度には209件と増加傾向にある。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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