富士重工業の吉永泰之社長は10月31日に都内で開いた決算会見で、安倍首相が経済界に要請している賃上げについて「従業員に報いたい気持ちは十分にある」としながらも、「何年か後に振り返った時も、本当に良かったと思える手を考えたい」との認識を示した。
吉永社長は「本当の意味で固定費が上がることが、何年か先まで考えた時に良い手なのかということが今、自分の頭の中で気になっている。負担ばかり増えて競争力を阻害してしまうようになることは、私どもの従業員にとっても絶対本意ではないと思う」と説明。
その上で「富士重工は苦しんでいた時期が長いので、(最高益更新で)ちょっと浮かれて2年後くらいになって、また『元の木阿弥』みたいにはなりたくないとみんな思っている。これで本当に良かったなという手を打ってあげられるかということを考えたい」と重ねて強調した。