【第3回鉄道技術展】東京メトロ、海外展開や銀座線1000系の技術をPR

鉄道 テクノロジー
「鉄道技術展」の東京メトロブースで行われている銀座線新型車両1000系のステージ発表の様子
「鉄道技術展」の東京メトロブースで行われている銀座線新型車両1000系のステージ発表の様子 全 6 枚 拡大写真

車両や運行システム、インフラなど鉄道技術関連の328社・団体が出展する「第3回鉄道技術展」が11月6日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で始まった。各社ブースでの展示のほか、初日の6日には東京地下鉄(東京メトロ)の入江健二常務取締役による基調講演が行われた。

基調講演は「東京メトロの海外事業~安全・安心とともに~」と題し、同社が中期経営計画で掲げる重点施策に沿って各種の取り組みを解説。「自然災害対策の推進」では浸水を防ぐ換気口の防水対策の推進、「ホームドアの整備」では2008年3月に全駅でホームドア設置を完了した丸ノ内線で、それまで毎年20件程度発生していた転落事故が皆無になったことなどが紹介された。

「東西線の輸送改善」では、現在島式ホーム1面2線となっている南砂町駅にホームを増設し、2面3線として都心方面への列車を交互発着させ、混雑緩和と遅延防止を図るほか、木場駅ではシールドトンネルの同駅上に開削工法のトンネルを設ける方式でコンコースを拡張。地下で列車を運行しながら既設のシールドトンネルを解体し、新たな空間を生み出す工事は世界初という。

そのほか「銀座線のリニューアル」では開業85周年を迎えた同線の「伝統と先端の融合」をコンセプトにした駅リニューアルの方針、「バリアフリー設備整備」では2020年に東京での開催が決定した五輪に向け、エレベーターによって段差のない経路を全駅に1ルート設置、病院などに近い駅では複数ルートを整備する方針が示された。

海外展開に関しては、同社が日本コンサルタンツと共同で受注したベトナム・ハノイ市の都市鉄道整備事業支援について紹介。ハノイ市の都市鉄道整備は2030年までに8路線・総延長318kmを建設する計画となっており、東京メトロと都営地下鉄を合わせた総延長304kmとほぼ同じネットワーク規模であること、また計画された路線網の中心が都市中心部からほぼ15kmの範囲に入っており、面的規模でも東京との類似点があると指摘。鉄道本部内に「ハノイ市都市鉄道整備事業支援プロジェクトチーム」を設置して「強力に推進する体制」を整えており、ハノイ市民に喜ばれる鉄道システムを構築し、また同市での経験を生かして海外展開していきたいとした。

東京メトロは展示ホールにも大規模なブースを構え、銀座線の新型車両1000系とその技術などを中心に紹介。1000系に関するステージ発表のほか、新日鉄住金と共同開発した操舵台車、東芝が製造した永久磁石同期電動機(PMSM)の実物を展示している。

操舵台車は、通常は台車に固定されている車軸をカーブに合わせて舵を切るように動かすことで、曲線をスムーズに走行できるようにした台車。1000系で使用されているのは片側の1軸のみを操舵する新型で、2軸とも操舵するタイプに比べてシンプルな構造としつつ、走行安定性の向上や騒音抑制に大きな効果があるという。

銀座線の最小曲線である半径91mのカーブでは車軸の位置が約10mm動く(カーブ外側では2軸間の距離が広がり、内側では小さくなる)といい、スイッチ操作によってカーブ通過時の動作を実際に見ることができる。また、銀座線の従来車01系と操舵台車を使用した1000系のカーブ走行時の映像比較で、きしり音が大幅に低下した様子を実感できる展示もある。

PMSMは、回転子(モーター内側の回転する部分)に永久磁石を使うことでエネルギー効率を向上させたモーター。回転子には電流が流れず発熱がないため、通風口などがない密閉構造となっている。密閉することで内部に粉じんが入ることがなくメンテナンスの手間と時間を大幅に削減できるほか、騒音も低下している。また、回転子の磁力の低下は30~40年程度使用しても1%未満という。展示では、金属片のついた棒で磁力を体験できる仕掛けもあり、操舵台車の実物と合わせて来場者の注目を集めていた。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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