災害運休の岩泉線、2014年4月にも廃止へ…JR東日本と沿線自治体が合意

鉄道 企業動向
岩泉線の終点・岩泉駅で発車を待つ普通列車(2006年9月)。2010年7月から土砂災害による運休が続いているが、このほど正式に廃止が決まった。
岩泉線の終点・岩泉駅で発車を待つ普通列車(2006年9月)。2010年7月から土砂災害による運休が続いているが、このほど正式に廃止が決まった。 全 2 枚 拡大写真

2010年の土砂災害により運休が続いているJR東日本の岩泉線について、同社と岩手県、宮古市、岩泉町はこのほど、岩泉線を廃止してバス輸送に転換することで合意した。これを受けてJR東日本は11月8日、岩泉線の廃止を国土交通大臣に届け出た。

岩泉線は、山田線の茂市駅(岩手県宮古市)から岩泉駅(岩泉町)までを結ぶ38.4kmのローカル線。2010年7月31日、土砂崩れによる脱線事故が発生して全線が不通となっており、現在はバスによる代行輸送が実施されている。

JR東日本は2012年3月30日、復旧に約130億円の費用がかかること、1日1kmあたりの平均通過人員(輸送密度)が46人(2009年度)と極めて少ないことから、同線を廃止する方針を発表。これに反発した岩手県や沿線の宮古市、岩泉町との協議が難航していたが、JR東日本が並行する国道340号の改良に協力する意向を示したことから、沿線の自治体も廃止を受け入れることにした。

4者の合意内容などによると、岩泉線の廃止後はJR東日本が運行確保に責任を持つ形で地元バス事業者が代替バスを運行。鉄道施設や敷地は、押角~岩手大川間にある全長約3kmの押角トンネルを岩手県へ、茂市~岩手和井内間の約10kmを宮古市へ、浅内~岩泉間の約7.4kmを岩泉町へ、それぞれ無償で譲渡する。

岩手県はこれに伴い、岩泉線に並行している国道340号の改良工事を実施。押角峠付近の道幅が狭く、大型車のすれ違いが困難であることから、岩泉線の押角トンネルを拡幅して国道340号に転用する。整備費用の一部はJR東日本が負担する。

代替バスのサービス内容は「現行鉄道水準」を基本に協議を進めるとしており、運行本数は1日4往復、停留所は現行の岩泉線各駅を基本とするが、大川集落付近と岩泉町市街地への路線延伸を行う。

運賃も茂市~岩泉間は鉄道と同じ水準とするが、山田線からの乗り換えは鉄道運賃とバス運賃の合算となり、実質的には値上げとなる。ただし、通学定期運賃に限り、緩和措置として3年間の差額補助を行う。

鉄道事業法では、鉄道事業を廃止する場合は廃止予定日の1年前までに届け出なければならないとしており、岩泉線の廃止日も今回の届出では1年後の2014年11月9日としている。ただし、国交相が関係各者の意見聴取を行って「(廃止日より前の日に廃止しても)公衆の利便を阻害するおそれがない」と認めた場合は、廃止日を繰り上げることも可能。JR東日本は国交相が繰り上げを認めた場合、廃止日を2014年4月1日に変更する方針だ。

《草町義和》

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