常識を覆す最先端の生産技術を数々盛り込んだホンダの寄居新工場

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ホンダの寄居工場
ホンダの寄居工場 全 3 枚 拡大写真

「ホンダとしてもっと発展していくためには、製品技術だけでなく、生産技術の進化も伴わないといけない。これはリーマンショック以前に計画していたことの一つでもあった。それを思い起こし、この工場は建てなければいけないと思った」

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伊東孝紳社長は寄居新工場の開所式でこう話した。そして、これまでの延長線上の効率アップでは世界に勝てないと、常識を疑って技術を見直し、再び建設を開始した。

そんな思いで完成した寄居新工場は、これまでにない最先端の生産技術が数多く盛り込まれている。例えば、プレス工程では、高速サーボプレス成型と金型を変更する際の時間短縮により、業界トップクラスのショット数を実現し、従来技術に比べ約40%の効率向上を達成した。

また、車体の溶接工程では、設備の小型化と軽量化をし、ロボットが一定時間内に溶接できる量を従来の2倍に増やしてロボットの総台数を削減。これによって、溶接ロボットへの投資額を3割も減らした。同時に、アンダーボディにサイドボディやルーフなどのフレーム部品を溶接するやり方も変えた。まず、骨組みをアンダーボディに結合し、そのあとに外板を結合することにして、ボディの重量を従来より30kgも削減した。

そのほか、組み立てラインでは、重量物作業の削減や取り付けの精度向上、省人化を目指して、極力ロボットへと自動化。なかには世界に4台しかないロボットもあるそうで、こうした自動化ロボットの導入によって、生産スピードを2割引き上げることができる。

工場見学の際には、一時ラインが止まってしまうハプニングがあったが、寄居工場の内製部分全体では、既存の工場より3割のコスト削減を目指しているとのことだ。コツコツ積み上げるコスト削減も大切だが、思い切ったコスト削減を進めるには発想の転換が重要なようだ。

《山田清志》

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