【BMW i3 試乗】EVもハンドリング性能が評価される時代…石川真禧照

試乗記 輸入車
BMW i3
BMW i3 全 18 枚 拡大写真

11月13日に日本でも正式に発表される『i3』。BMWとしては初めての量産型EV(電気自動車)だが、発売は来春の予定だ。その間に認証やメカ二ックの教育やディーラーなどを整備しようというわけだ。

【画像全18枚】

そこで、日本発売を前に、オランダの首都アムステルダムで行われたプレス向け試乗会に参加し、そのフィーリングを体感してきた。オランダは自国の大半が海抜0m地帯なので、温暖化による海面の上昇は国の存続にかかわる問題。なので、EVの普及に熱心なのだ。日産『リーフ』もオランダで売れているという。

試乗会場に用意されていたi3は30台以上。欧州販売最終モデルだ。試乗したのは「ロフト」というモデル。i3は4グレードあり、下から2番目の売れ筋モデル。合成皮革の内装と明るい色調の室内が特徴だ。実車は想像したよりも大きく感じた。全長はトヨタ『アクア』、幅と高さは『プリウスα』に近いのだが、大きく感じた。i3の凄いのはこのサイズのEVなのに、車両重量が軽いこと。1195kgだ。日産リーフは1520kg、三菱の『i-MiEV』も上級グレードのGが1110kgなのだ。

軽量化の理由は専用の工場で作られる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のボディにある。このボディのおかげで4ドアだがBピラーがなく、後席用は後ろヒンジのドア(ミニ『クラブマン』と同じ方式)の採用が可能になったのだ。

パワーユニットは170ps、250Nmのモーター。床下に搭載されるバッテリーはリチウムイオンを使用している。

走り出す前にスペックを確認して、ちょっとびっくりしたのは、このEVでも前後軸への重量配分を50対50にしていることだ。

運転席に座り、走行モードを選択する。シフトはメーター右のダイヤル式レバーを動かし、Dに。さらにスイッチでノーマル/エコ/エコプロもモードも選べる。スタートはD、ノーマルの組み合わせで。ほぼ満充電状態で、メーター内の走行可能距離は147kmを表示していた。メーカー発表の航続距離は130~160km。これは走行モードの違いによる差だ。

スタートからの加速は、かなり速い。試乗は4名乗車だったが、それでも0~100km/hを8秒台前半で走った。さらに80km/hからの加速も頭がのけぞるようだったし、100から120km/hの加速もあっという間。アクセルを踏み込んでからのもたつきは一切ない。

一方で、アクセルオフでの回生ブレーキもかなり強烈。100km/hでアクセルをオフにすると急ブレーキをかけたのか、というぐらいに減速Gを感じる。ここで、一気にバッテリーに充電をしているのだが、強力過ぎ。だから、アクセルオフで減速Gが0.1G以上だとブレークランプが点灯し、後続車に注意を促すのだ。

ハンドリングは、操舵力こそ重めだが、ハンドルを切り始めてからの動きはクイック。ロールは若干あるが(4名乗車)、狙った通りのラインをトレースできる。カタチはシティコミューターだが、ハンドリングは、BMWのスポーティセダンと同レベルだ。

乗り心地も上下動のキツさもなく、19インチタイヤからのゴツゴツ感も伝わってこない。居住空間もリアシートは床面がほぼフラットで、広い。背もたれは2分割で可倒し、荷室として使える。実用性は高い。

アムステルダム周辺を1日走り回って約70km。試乗終点に戻った時点での可能航続距離は70.2kmだった。これなら日常の足として十分使える。しかも走っていて楽しかった。

BMWiシリーズの登場で、EVは航続距離の長さだけでなく、ハンドリング性能も評論する時代に入ったようだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

石川真禧照│自動車生活探検家
日刊自動車新聞社を経て1971年からフリーの自動車評論家。1982年、I.W.オフィースを設立、自動車を中心としたメディア活動を開始する。自動車を生活の道具として捉える評論を得意とし、「自動車生活探検家」を名乗る。

《石川真禧照》

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