【ホンダ フィット 試乗】HMIと高い品質と優れたパッケージング…会田肇

自動車 ニューモデル 新型車
フィットHYBRID Fパッケージ
フィットHYBRID Fパッケージ 全 20 枚 拡大写真

売れに売れて、ついに10月の登録台数で2年半ぶり首位に立った新型のホンダ『フィット』。その理由として、新採用の高効率HVエンジンやミッションの採用もあると思うが、最近の国産コンパクトカーにはない質の高さ、パッケージングの巧さも見逃せないポイントとなっている。

HVの運転席に座ってまず感じるのが、コンパクトカーとは思えない質の高さだ。運転席を中心に緩やかにラウンドするダッシュボードは、適度に包み込む感じがあって実に心地良い。前モデルはダッシュボード中央部が低めで、座っていても今ひとつ落ち着き感が伴わなかった。それが大きく改善されたのだ。また、速度計を中心とするメーター類は見やすく配置され、HVの状態もボタンを押すことで簡単に表示を切り替えられる。HMI(Human Machine Interface)の観点からも評価できるポイントだ。

HV専用のシフトレバーは反力も自然で、モードを選んだ時もシックリ来る。その動きは上級車にでも乗っているかのよう。ライバルであるトヨタ「アクア」のようにシフトレバーからしてチープ感が伝わってくるようなことは一切ないのがいい。

内装の質の高さも実に素晴らしい。助手席前のダッシュボードは充分な弾力を持つソフトパッドに覆われ(Fパッケージ以上)、これは最近の国産コンパクトカーで久しぶりに見た素材だ。惜しいのはこれがダッシュボード全体に及んでいないこと。ここ以外は硬質のパネルで構成されてしまっている。それでもシートの素材感は上質で、「Sパッケージ」になるとシートや中央のアームレストは赤いステッチが施される。周囲に施された加飾とも相まって、クルマとしての魅力を大いに感じさせてくれる部分だ。

さらに見えないところで感心したのが、ドア下部に取り付けられたウェザーストリップ。ドアの内側周囲に取り付けられるのは普通だが、新型フィットでは、ドアの一番下で左右いっぱいにこれが取り付けられているのだ。また、リアドアとフロントドアが隣り合わせになる部分にもシールドが施され、これらがあることで雨の日に走行しても水はねなどによる車体側の汚れを最小限に抑えられ、この汚れが元でロングスカートなどの裾を汚してしまった、ということもなくなる。

車内の広さはこのクラスとしては最高の部類に入る。フロントはシートがたっぷりとしていて、奥行き感もある。そのため、短時間の試乗でも座っていて疲れを感じにくいように思えたのだ。なかでも驚くのがリアシートの広さ。ヘッドクリアランスは明らかにアクアを超えるもので、フロントシートとの感覚も十分確保されている。バックシートの高さがあまりないため、ヘッドレストは引き延ばして使うことになるが、それでもこの空間の余裕は大したものだ。また、シートを倒したときのカーゴルームは、まさに“巨大”との表現がピッタリに思えるほど。この収容能力は実用性の観点からも高く評価したい。

乗り心地もかなり向上した。「Sパッケージ」だと多少ゴツゴツ感があるものの、それ以外は適度な堅さがシッカリ感として伝わってくる。遮音性は前モデルよりも明らかに高く、エンジンの回転を上げた時のノイズ感も上質そのもの。この辺りはホンダらしいこだわりを感じた。

購入時にぜひプラスしてもらいたいのが「あんしんパッケージ」。6万円の費用で、シティブレーキ アクティブシステムと、サイドエアバッグ/サイドカーテンエアバッグがセットされるのだ。「シティ~」は赤外線による緊急ブレーキシステムのことで、30km/h以下での前方車両との衝突回避・軽減をしてくれる。さらに余裕があれば、「コンフォートビュー パッケージ」がオススメ。これだとドアミラーとフロントウインドウのワイパー部分にヒーターが付く。ナビパッケージとの駐車場が屋外なら重宝すること間違いなしだ。

それと個人的に嬉しかったのがリアフォグの対応だ。降雨時の高速道ではテールランプを点灯しても巻き上げられた飛沫で後続車が確認しづらくなることも多い。そんな時にリアフォグは役立つのだが、ホンダは輸出車に対してはリアフォグ車を用意しているのに、国内向けは何故か用意してくれない。そんな中、今回のフィットでは『無限』のオリジナルパーツとして、リアフォグ仕様を用意したのだ。フロントやサイドスカートも合わせると大きめの出費とはなるが、カッコも良くなるし、個人的には◎の装備としたい。

《会田肇》

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