【第3回鉄道技術展】列車制御は「CBTC」に注目…無線利用がトレンドに

鉄道 テクノロジー
「鉄道技術展」の京三製作所ブースに展示されていた、同社が開発したCBTC「IT-ATP」の解説パネル
「鉄道技術展」の京三製作所ブースに展示されていた、同社が開発したCBTC「IT-ATP」の解説パネル 全 2 枚 拡大写真
JR東日本が常磐緩行線に仏企業のシステム導入方針を示し、注目度の高まった無線による列車制御「CBTC」。「第3回鉄道技術展」(11月6~8日)の会場でも、信号関連ではCBTCに関する展示が目立ち、無線利用が列車制御システムのトレンドであることが感じられた。

CBTCは「Communication Based Train Control」の頭文字で、無線通信を使った列車制御システムのこと。CBTCという言葉が初めて使われたのは、1997年に開発が承認されたニューヨーク地下鉄の無線制御システムだったが、無線による列車制御はほかにも各国で開発が行われており、2004年に米国電気電子学会(IEEE)により「IEEE1474.1」と呼ばれるCBTCの規格が制定された。この規格ではCBTCを「軌道回路(線路を使用して列車の存在を検知する電気的回路)を使わずに高精度な列車位置の検知が可能で、列車と地上間で双方向の連続した高速通信を行うことで列車制御を行うシステム」としている。

海外では新規開業の地下鉄や都市鉄道でCBTCの採用が相次いでいるが、日本の鉄道は既に完成された信号システムが整っていることから導入の動きが見られず、CBTCに関してはアルストムやシーメンス、ボンバルディアといった「ビッグ3」の鉄道関連メーカーや、フランスのタレス、イタリアのアンサルドSTSといった欧米メーカーが席巻してきた。また、欧州では統一的な列車制御システムとして無線利用方式が含まれる規格「ETCS」が策定されており、日本はやや出遅れているとの指摘がなされてきた。

しかし、JR東日本が開発した「ATACS」が2011年に仙石線で実用化され、埼京線でも2017年からの導入が決定。さらに日本信号の開発したCBTC 「SPARCS(スパークス)」が相次いで海外での採用が決まるなど、日本勢による無線制御システムが広がりを見せつつある。

技術展会場では、日本信号がSPARCSに関して映像などを使って展示。京三製作所は同社の開発したCBTC「IT-ATP」に関する展示をブース側面の壁面を使い、大きく取り上げていた。いずれも無線の周波数帯には、免許の取得が不要で一般に幅広く使われる2.4GHz帯を使用しつつ、無線利用で懸念される妨害や混信などに対する安全性の高さをPRしていた。

SPARCSは2011年12月から北京地下鉄15号線で使用され、今年に入ってインドのデリー・メトロ8号線、韓国の金浦都市鉄道での採用が決まったと発表されている。同システムでは無線通信に独自のプロトコルを使用して妨害を防いでいるほか、周波数も1MHz単位で細かく選択できるため、他の無線通信の周波数を避けて設定することが可能という。

車両の位置検出には、車両の速度と線路に設置された地上子によって得られる位置情報のほか、車上の無線機と沿線に設置した無線機との通信によって距離を測定する「無線測距」を使用。地上に設置される無線機間の通信も全て無線で行うためケーブルが不要になるなど、高度な無線技術を駆使しているのが特徴だ。

京三製作所のIT-ATPは、線路沿いに設置した漏洩同軸ケーブル(LCX)によって車両との無線通信を行うのが特徴。LCXは電波を外部に漏らすことでアンテナとしての役割を果たすケーブルで、鉄道では新幹線の列車無線や、地下鉄で携帯電話の通話を可能とするために使用されている例がある。

一般的なCBTCでは車上装置と地上の基地局間で通信を行うが、IT-ATPでは線路沿いに敷設したケーブルとの通信となるため距離が近く、妨害電波に強いという。同システムは従来の軌道回路を使う方式との併用も可能なため「既存システムの更新に最適」としており、従来方式との親和性も重要視していることがうかがえた。

今後も無線利用による列車制御が世界的に広がっていくのはほぼ確実だろう。日本国内での採用はもちろん、新興国で都市鉄道の需要が高まる中、安全性・安定性の高さを掲げる日本製の無線利用信号システムが各国に広がっていくか注目される。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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