シトロエンDSラインのエントリーモデルである『DS3』にオープンボディのカブリオが追加された。
外観はDS3の個性をより強調したもので、ツートーンのボディカラー、フローティングルーフ、シャークフィンデザインなどをDS3から受け継ぎ、ルーフに電動式のソフトトップを採用した。
名前はカブリオだが、イメージはキャンバストップに近い。時速120kmでもわずか16秒で開閉できるというルーフは、セミオープンにすると大きなサンルーフが開いたのと同じような状態になる。これがキャンバストップ車の状態だ。
更にスイッチを押すと後部ガラスが下がり、ガラスがあった部分にたたまれた幌(ほろ)が下がってルーフから後方にかけてオープンになる。でも、リヤウインドー部分が幌でふさがれた形になるので後方視界が悪くなる。というかほとんど後ろが見えないので、状況の良いときでないとフルオープンでは走りにくい。
搭載エンジンは直列4気筒1.6リッターの直噴ターボ仕様で、115kW/240N・mパワー&トルクを発生する。240N・mのトルクは1200kgほどのボディに対して十分なもので、6速MTとの組み合わせで軽快な走りを楽しめる。
低回転域からフラットなトルクを発生する特性なので、軽くアクセルを踏み込むだけで低速域からでも滑らかな加速が伸びていく。この軽快でさわやかさにあふれた走行感覚はカブリオにふさわしい。
カブリオの車両重量は、スチールルーフのDS3に対してわずか20kgほどしか増加していない。なので走りのフィールはDS3と同じと言っていい。それにオープンルーフのさわやかさが追加されたモデルである。
デザインと走りの気持ち良さが魅力のDS3カブリオだが、6速MTだけでなく6速ATの設定も欲しいところ。日本ではAT免許しか持たないユーザーも多いからだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。