【達人に聞く! スマートなSUV購入術】買取り店で判明「売却時に有利なのは本格SUV」

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新車を購入すれば、いつかは手放す時がやってくる。ハイブリッドや軽自動車、コンパクトカーが市場を席巻する昨今だが、どのようなカテゴリーのクルマが“売り手市場”なのだろうか。

今回、買取り相場の現状とトレンドを聞き出すべく、買取り会社の各担当者に直接取材。取材したのは、「たちつてトヨタのお約束」の標語で安心と信頼を打ち出しているトヨタ系列のT-up、MEGA三郷店での車検サービスを始めたカーセブン、高級輸入車販売専門店「リヴェラーラ」をオープンしたガリバー、という大型買取りチェーンの3つだ。

◆中古車市場の現状とは

中古車の価格と同様、車両の売却相場は「需要と供給のバランス」で決まる。そして供給は新車の販売台数で決まるため、現状の中古車市場で台数(「タマ」と呼ばれる)が出回っているのはやはりハイブリッド、軽自動車、コンパクトカーだ。

T-up狭山 アシスタントマネージャーの金野泰法さんは「エコカー補助金が昨年9月に終わったことで、年式が古い車の構成比率も上がっているが、近年は『プリウス』20型(旧型)や30型(現行型)などハイブリッドの中古車も数が増え、動きを見せている」と話す。ガリバーインターナショナル ガリバー自動車研究所 所長の鈴木詳一さんによれば「軽自動車では、『ワゴンR』が買い取りも販売も概ね1位。元々の保有台数が多いことや、パッケージが優れているので若い方を中心に人気」だという。

ミニバンは燃費効率を考え、人数は乗れるが排気量は少ないものが高需要。例えば、トヨタ『エスティマ』では2.4リットルの方が3.5リットルより販売数が多い傾向にある。

一方、セダンは数が出回っているものの、中古車での需要が少ないため売却時の値が下がってしまう。「定期的にモデルチェンジされているものが多いので、必然的に古い方は値が落ちてしまう」(金野さん)、「セダンはずっと新車で買い続けるという年配のユーザーも多い」(鈴木さん)ことが要因だ。

手放す時に見えるSUVの魅力

では、SUVはどのような位置付けにあるのだろうか。SUVはその機能性と信頼性の高さから一定のマーケットを保持しており、中古車買い取り時にも値崩れが少ないという。とくにかつては「クロカン」と呼ばれていたヘビーデューティ系の本格SUV(三菱『パジェロ』やトヨタ『ランドクルーザー』『ランドクルーザー プラド』など)はその傾向が顕著だという。

金野さんは「新車ラインナップが少なくなっているため、限られた車種・台数の中で展開している」と話す。エンドユーザーからの需要に対し、供給数が少ないという現状だ。この時点で高値での買い取りが期待できるカテゴリーであると言えるだろう。

また、買い取り時に着目される大きなポイントの一つが走行距離。カーセブンディベロプメント カーセブンプライシングセンターの小川洋一さんは「とにかく距離を走る人には本格派SUVをおすすめしたい」と語る。基本的には年間1万kmを超えると値が下がりやすいという中古車だが、SUVは元々耐久性の高いモデルであるため、走行距離はそれほど障害にならないという。また、かつてのクロカンブームが一段落し、本格SUVであっても岩場や林道などでクルマを酷使するユーザーもほとんどいないため、程度の差も小さくなってきたことも相場の安定をもたらしている一因であるという。

「モデルによっては5万kmのものと15万kmのものが同じ値段で取引されている。トヨタ車のSUVに関してはブランドの信頼性も相まって、非常に高い残価率を誇っている」(小川さん)という。一方、ハイブリッド車やコンパクトカーは本来の用途から見て、走行距離が買い取り価格に影響しやすいようだ。 

◆人気カラーの王道は白と黒

では、グレード、カラーなど、優位となるポイントはどこにあるのか。

新車でも中古車でも人気カラーは白(パール)と黒だという。どの車種でも共通してその傾向は強いようだが、本格的SUVにおいては特に高級感も重視される。「傷が目立つので黒は選びたくない、といった理由がなければ、オプションカラーを選んででも黒にした方がお得」(小川さん)や「近年プラドなどではパールの人気も高まってきた。内装とのバランスで上手く高級感を表現できるカラーなのでは」(金野さん)という意見が出た。

◆グレードや装備で差は出るのか

次に、どのようなグレードや装備を選択すればよいのか、聞いてみた。

「後付けできないオプションに関しては付けておくべき」と三者揃っての回答。サンルーフ、カーナビ、革シートは必須で、「レールルーフや更に高級感を高めるためのウッドコンビハンドルも選択すべき」(小川さん)、「単純に走るだけでなくてスタイルも重要視されるので、ある程度の装備は必要」(鈴木さん)という。

一方グレードについては必ずしも上級でないと高く売れないということではないらしい。「一例を挙げればプラドの場合、残価率で見ればV6の上級モデルよりも4気筒モデルのほうが有利なケースもある。このように、グレード間でも残価率には大きな差が出にくいのはヘビーデューティー系SUVのひとつの特徴といえるかもしれない」(金野さん)。現在は街乗りユーザーも多いSUV、走行性能はそこまで着目されないようだ。

最後に7人乗りと5人乗りのタイプがある場合はどちらに利点があるのか。小川さんは「以前ほど差はないが、やはり7人の方が若干値段残りは良い」と話し、金野さんは「5人乗りを探している人に7人乗りを進めることができるが、逆は難しい。7人乗りを選んだ方が無難」と語った。

クルマは嗜好品だから、「自分の欲しいクルマを買う」というのは当然。けれども、やはり乗換えや売却時にはできるだけ高く買い取ってほしいもの。新車選びの際の参考点の1つとして、売却相場を頭の中に入れておくことは決して損にはならないだろう。

《吉田 瑶子》

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