【ホンダミーティング13】「まだまだエンジンで飯が食える」…ホンダのエンジン戦略

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2リットルターボ搭載のシビックタイプR
2リットルターボ搭載のシビックタイプR 全 12 枚 拡大写真

「“エンジン屋のホンダ”という部分はまったく揺るぎはありません。“内燃機関はもうないんじゃないの?”みたいな話もありますが、まったくそんなことは思っていない。開発要員も削っていません。まだエンジンで飯は食えると思っています」。

こう語るのはホンダのパワートレイン担当執行役員である三部敏宏氏だ。11月にジャーナリスト/メディア向けに開催された「2013ホンダミーティング」にて、ホンダのエンジン開発の将来的展望を聞くことができた。

◆電動化技術が進むほど、最後は内燃機関が勝負どころになる

ホンダはまだまだエンジン開発にかける手綱を緩めるつもりはない、と三部氏は力強く語る。

その理由は、「ハイブリッドの勝負どころはエンジンになる」という考えがあるからだ。

「バッテリーEVは別モノですが、それ以外には必ずエンジンがあります。2050年の段階でも、内燃機関は十分に残っていると予測しています。ハイブリッド化が進んだとしても、電気の効率みたいなものは、たぶんそんなに差が出せなくなっていると思うんですよ。電気部品は、結局、買い物になってくると。そうなれば電動化技術でも、最後の勝負どころは、内燃機関になる。我々はそう思っています。だからこそ、エンジン開発は、この先、まだまだ上を目指さないといけない」と言う。

エンジン開発は、ふたつの方向性で進める

モーターやインバーターの開発に対して、内燃機関の伸びシロはまだまだあるということだ。そうした「まだまだ先を目指さないといけない」というホンダは、エンジン開発の戦略として、「ふたつの方向性を考えている」と三部氏は言う。

ひとつは、現在、最高でも30%台と言われるエンジン単体の熱効率を徹底して高める方向。そして、もうひとつが、ノッキング対策技術の模索だ。

「熱効率の追求はピンポイントでもいいんです。ハイブリッドであれば、それを使えますから。今後、ハイブリッドは、走行を全部電動化して、エンジンは発電機になるとなれば、ピンポイントで効率が良ければいいとなります。目標としては、まず早いうちに45%を超えて、2020年くらいには熱効率50%を目指したいと考えています」

ノッキング対策技術が進化すれば、過給エンジンなどに応用ができる。また、オクタン価の高いエタノール混合ガソリン燃料を利用して、ノッキング対策とする研究も行っているという。燃料タンク内でガソリンとエタノールを分離して、ノッキングしそうな領域では、オクタン価が高く、対ノッキング性のよいエタノールを使うというアイデアだ。つまり従来の燃焼とは異なるアプローチも研究の視野に入れているという。

10年間戦える「アース・ドリームス・テクノロジー」

こうして研究した技術は、昨年にホンダが発表した「アースドリームステクノロジー」のエンジン類をベースにして、実用化が進んでいくという。

「もともとアース・ドリームス・テクノロジーは、今だけを見ているのではなく、10年間戦えるように、ベースを一新するというものです」と三部氏。

10年間、ライバルと戦えるエンジンであるためにすべてDOHCを採用したという。それは将来的にイン側、エキマニ側の両方にVTECなどの新技術を追加できるようにというのが理由だ。エンジンの進化の伸びシロを大きくとれるようにという考えからだ。また、新しいエンジンは、過給化も可能。つまり、フレキシビリティの高さも進化の大きな伸びシロとなる。その伸びシロに追加されるのが、先ほど説明した「ふたつの方向」で開発された新技術という。

「一時期、ホンダのエンジンは低迷されたように見える時期がありました。しかし、研究開発をずっとやっていたので、ホンダの中の人間としては、まったく心配していないんですよ」と三部氏。

「powered by HONDA」との言葉と共に、かつては誰もが「エンジンといえばホンダが一番」と思う時代があった。「まだまだ開発の手を緩めない」というホンダは、かつての名声を取り戻せるのか。まだ見ぬホンダの新たなエンジン技術が今から楽しみだ。

《鈴木ケンイチ》

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