驚異の利便性、軽自動車は“譲れぬ一台”になる…藤島知子

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藤島知子氏
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スーパーハイトワゴン最大の魅力はキャビンを最大限に広く使うユーティリティにあるといる。

ともあれ、『タント』、『N BOX』、『スペーシア』はそれぞれ後席に両側スライドドアを備えていたり、身長120cm前後の子供が後席のフロアに立ったまま着替えができたり、ママチャリやベビーカーがそのまま積み込めたりすることは、もはやこのカテゴリーの常識になりつつある。

広さの上ではすでに必要充分であることから、今後の進化は機能性をキープしたまま、いかに居心地のいい空間を演出するか、ストレスなく機能を使いこなせるようになるか、新機能を採り入れてトレンド感をどう表現していくかといった要素が課題になってきそうだ。

スペーシア、スズキの本気が満載

スペーシアの前身は上質感や快適性をこのクラスに持ち込んだ『パレット』だったが、空間を意識した『スペーシア』にその名を変えたことから、スペースユーティリティを重視したクルマづくりにシフトしてきたことが伝わかる。スペーシアの後席は座り心地にコシがあり、ほどよく身体を支える形状になっているが、アレンジ優先でチープな印象を与えたりしない所はパレット譲りだ。

後席左右の座席は個別にスライドできるタイプで、荷物を積む時は50:50の分割可倒で背もたれを倒すことができる。荷室部分にダークカラーのフェルトが張り込まれているのはタントと同様で、細部まで配慮されている心意気が嬉しい。また、子育て層が使いやすいようにティッシュがダッシュボード上部から引き出せるようになったほか、前席頭上にオーバーヘッドコンソールを用意。助手席座面下のバケツ収納もスズキ車らしい装備だ。

新型タントで明らかになった、ミラクルオープンドアの驚異

後席の乗り込みやすさで圧倒的に優位だったのは、ミラクルオープンドアをもつタント。

右サイドの後ドアがスライドドア化されたことで、運転席に乗り込む最短の導線で後席にアクセスもできるようになり、乗り降り毎の煩わしさが解消された。ボディ左サイドには柱が存在しないため、乗降時や後席の作業性がよく、活用方法は無限大だ。

助手席は背もたれ後ろのレバーを引きながら前方にスライドできるので、後席の足元にB型ベビーカーを折りたたまずに乗せることも可能。さらに、助手席の背もたれを水平に倒せば長尺物が積めたり、ピクニック気分でテーブルとして利用することもできる。

ホンダの巧みさが光る、センタータンクレイアウト

後席足元の空間利用が巧みなのはN BOX。ガソリンタンクを前席下に配置するセンタータンクレイアウトの恩恵を存分に生かしている。後席はアレンジ優先のフラットな形状で固定式となるが、座面を跳ね上げれば、ベビーカーをはじめ、背が高い荷物を後席左右の足元に積み込める。

また、フルフラットな荷室を確保するさいは、タントやスペーシアはリヤゲート側から背もたれを倒し、後席ドア側から座面を沈める2アクション方式なのに対し、N BOXはゲート側からレバーを引いてそのまま倒すワンアクションで大きな荷物を積み込める状態が作り出せる。雨の日に自転車で出掛けた子供を迎えに行く時など、短時間で使いこなせて重宝するだろう。

エンタメ機能に差

カーライフの充実にひと役かってくれるエンターテイメント機能については、各車にスマホやミュージックプレーヤーをBluetoothで無線接続して使えるオーディオやスマホアプリを活用したナビ機能がオプションで用意されている。

タントにはミニバンで利用者が多い天井吊り下げ式の後席モニターを設定。10.2インチの大画面でDVDやTVの映像が鑑賞できることで、ドライブ中の子供を飽きずに楽しませることもできるという。

登録車と軽自動車の垣根を超えて譲れぬ一台を

あったら嬉しい機能を盛り込み、魅力的なスモールカーへと進化を続ける軽自動車たち。空間活用に同乗者の快適性など、多様化するユーザーのニーズに応えるかのように選択肢が多彩になってきた。

カタログやCMのイメージで購入するクルマを決めつけてしまうのはもったいない。実際に触れて試乗してみることで、メリットとデメリットがあることを知り、自分自身のクルマ生活において譲れない一台を見つけてほしい。

《藤島知子》

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