JAXA 宇宙航空研究開発機構は、惑星分光観測衛星『ひさき(SPRINT-A)』に搭載された極端紫外線分光装置(EUV)による木星と金星の分光観測を11月19日に行い、装置が正常に機能し、科学観測が可能になったことを確認したと発表した。
「ひさき」は、今年9月14日にイプシロンロケット初号機で打ち上げられた、惑星を専用に観測する衛星。打ち上げ後2カ月は、観測のために衛星の姿勢を制御する装置と観測装置の確認を行う予定としていた。「ひさき」に搭載された極端紫外線望遠鏡(EXCEED)の機能で、対象天体を高精度に追尾する機能、「視野ガイドカメラ(FOV)」はすでに正常に動作すると確認している。今回、EUVもが正常に機能すると確認したことにより、定常観測運用を開始する予定だ。定常運用では、今後2014年1月からはハッブル宇宙望遠鏡などと共に木星の観測を協調して行い、4月以降は日本のX線天文衛星「すざく」、NASAの「チャンドラ」X線観測衛星、ESAのX線天文衛星「XMM-Newton」とも木星の協調観測を行う予定だ。
今回、観測を行った金星は、惑星の周りを取り巻く磁場の渦「磁気圏」が弱く、木星は反対に地球よりもはるかに磁気の力が強いといった違いがあることがわかっているという。「ひさき」は、「極端紫外光」と呼ばれる波長がごく短く、地球上では大気に吸収されてしまうため観測が困難な紫外線を利用して、木星、金星や今後は火星の磁気圏の観測を行うことを目的としている。