【東京モーターショー13】BEWITHブースに展示のパガーニ ウアイラ純正オプションオーディオ、鳴りをチェック

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BEWITHブースに展示されているパガーニ ウアイラ
BEWITHブースに展示されているパガーニ ウアイラ 全 24 枚 拡大写真

東京モーターショーの会場から、パガーニ『ウアイラ』の日本仕様車にオプション採用されたBEWITH製カーオーディオシステム「BEWITH Prime Ensemble for Huayra」と、その技術を応用した市販カーオーディオの次期製品などについてお伝えしたい。

◆新興ブランドながら2009年から東京モーターショーに出展

BEWITHは2002年に創設された若いブランドで、2009年の第41回から東京モーターショーに出展している。2009年の東京モーターショーと言えば、リーマンショックのあおりを受けて輸入車メーカーの大半が出展を見送ったことでご記憶の方も多いだろう。

その、ちょっと寂しい会場のなかで2台のSLRマクラーレンを展示し、色鮮やかなドレスを着たコンパニオンとともに雰囲気を盛り上げていたのが当時初出展のBEWITHブースだった。ブースの周囲はSLRと記念写真を撮ろうとする来場客で混雑していて、展示されている製品に関心を示す人は決して多くなかったが、BEWITHのスタッフはそういうお客さんにも分厚い製品カタログを惜しみなく渡し、コンパニオンのお姉さんたちは笑顔を振りまいていた。

「何のメーカーだか分からずに来ている人が大半でしょうね」と中島社長に話すと、「みなさんが楽しんでくれれば、それでいいんですよ」とニコニコしていたのを思い出す。今回のウアイラもご想像通りたいへんな人だかりになっていて、写真を撮っている人たちの多くはBEWITHがカーオーディオ業界屈指のブランドであることを知らないだろう。

それでも来場客が喜びそうなスーパースポーツカーの展示に毎回こだわるのは、大らかでサービス精神あふれるBEWITHの社風のようなものなのではないかと思っている。

◆音響専用マグネシウム合金「MAGNEOLA」を採用

BEWITHは佐賀県に本拠を置く企業で、製品開発の一部を地元の大学研究室と共同で行っている。その成果のひとつがマグネシウム素材の積極的な活用だ。マグネシウムは軽量かつ高剛性な素材としてクルマ業界にも馴染みのあるものだが、同社が着目したのはマグネシウム筐体の採用が音質向上に大きく寄与するということである。

同社は前回(2011年)の東京モーターショーで世界初のマグネシウム押し出し材を使ったオールマグネシウム合金ボディのパワーアンプなどを既に発表しており、今回のウアイラ用システムではそれをさらに発展させた音響専用マグネシウム合金「MAGNEOLA」(マグネオラ)ボディをプロセッサーとパワーアンプに、同じくMAGNEOLAバッフルをスピーカーに採用。さらに、来春発売予定の市販カーオーディオ製品も一斉にMAGNEOLA化されることになるという。

◆音はBEWITHらしくハイスピードかつ高鮮度…BEWITH Prime Ensemble for Huayra

それでは、展示車両のオーディオを聴かせてもらうことにしよう。まずはウアイラから。こちらはスピーカーの取り付けのみが完了し、プロセッサーやパワーアンプの調整がまだ間に合わないとのことで、純正オーディオユニットにスピーカーを直結した状態で試聴した。そんなわけで正直あまり期待していなかったのだが、なかなかどうして、音楽的な芯のあるしっかりとした音だ。

継ぎ目のないカーボンモノコックに支えられたボディの圧倒的な剛性と、スピーカー取付穴を裏と表から締め付けて固定する「AAP」(Acoustic Anchoring Platform)という新方式の取り付けバッフルが音に効いているのだろう。

運転席に座ってドアを閉めてみるとスピーカーの取り付け位置は思っていたより前方にあり、耳の位置から適度に距離が取れているので定位も悪くない。音の指向性がリスナーに向くよう偏芯コーンの取り付け角度を調整していることも当然プラスに作用しているはずだ。これにBEWITHのプロセッサーとアンプを加えてタイムアライメントやイコライザーをさらっとチューニングすれば、BEWITHらしいハイスピードで高鮮度な音に仕上がるであろうことは容易に想像できる。

ウアイラはもともと「路上のプライベートジェット機」をテーマに開発されたモデルで、ドライバーが望めば静かなクルージングも楽しめるクルマだというから、オーナーの手に渡ってもお飾りになってしまうことなく、その高品位な音の魅力を存分に発揮していくに違いない。ちなみに前回も書いたとおり、このシステムにはMAGNEOLAボディを採用したデジタルプロセッサーと小型の4chパワーアンプがほかに搭載され、システムとしての総重量はわずか5kg程度に抑えられている。

◆入門用スピーカーでも十分な解像感…トヨタ ヴェルファイア

そしてもう1台の展示車両はトヨタ『ヴェルファイア』である。オーディオのデモカーとしてはちょっと意外な気もするが、車内のエアボリュームが豊かでウィンドスクリーンが遠くにあり(ガラスによる音の反射の影響を低減できる)、静粛性も高い高級ミニバンは実はオーディオのカスタマイズに向いている。

このクルマには同社の入門13cm2ウェイスピーカー「B-1300U」にAAPバッフル(ウアイラに採用されたものと同じ技術だ)を組み合わせた「B-1300AAP for ALPHARD/VELLFIRE」(来春発売予定)がフロントに装着されているだけで、リアスピーカーやサブウーファーは一切なし。にもかかわらず、耳が期待していたより1オクターブ下の重低音が軽々と出てきて驚かされた。

もちろん低音だけでなく、中高音の情報量も質感も7月の最初の取材の時に聴かせてもらったB-1300Uとは別物。両者の違いはAAPバッフルの有無だけなので、音の違いがその効果だとすれば凄いことだ。実は今回のシステム、スピーカー以外のアンプやプロセッサー類には同社の最上級機器が使われていて(スピーカーを除く機器の総額は100万円を超える)、純正AVナビで直接鳴らしていた7月取材時のデモカーとは条件がまったく違うのだが、それを差し引いても入門クラスのスピーカーとは思えない本格的な音である。

デジタルプロセッサーではかなり緻密な調整が行われているはずだが、いかにもスピーカーがラクに鳴っている感じの、スカッと抜けた気持ちの良いサウンドを楽しむことができた。

◆ジェットブラックかクリアレッド塗装か…迷う楽しみも

同社ではこの「B-1300AAP for ALPHARD/VELLFIRE」のほか、来年春に登場するパワーアンプと電源レギュレーター、そしてプロセッサーのすべてに音響専用マグネシウム合金「MAGNEOLA」ボディを採用していくという。外装仕上げはいずれも、既に発売されているミラー型リニアPCMプレーヤーの「STATE MM-1D」と共通のジェットブラック塗装仕上げで統一され、キャンディレッドやシルキーブラック(光沢のあるブラック)仕上げの現行モデルと置き換えられていく模様だ。

ジェットブラック塗装は高級感のある落ち着いた表情が魅力的で、またマグネシウム合金の制振性を高める効果もあるそうだが、現行モデルの艶やかなフィニッシュも捨てがたい。実は現行のキャンディレッドは金属表面にクリアレッドを塗装して仕上げるため、特にマグネシウム合金のモデルでは金属下地を整えるのにたいへんな手間暇が掛かっているのだそうだ。そう聞くと、現行モデルを今のうちに手に入れておいたほうが良いのかも…とも思えてくる。買うか待つか、BEWITHファンにとっては悩ましい年末年始となりそうである。

なお、BEWITHブースのウアイラは、もちろん東京モーターショーの最終日である12月1日までブースに展示中だ。BEWITHのオーディオを見るために、とは言わない。ウアイラを見るついででかまわない。BEWITHの製品を実際に目の当たりにして欲しい。その徹底した製品の作り込みとこだわりように目を奪われるはずだ。

《内藤 毅》

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