【お台場モーターフェス13】軽じゃだめなのか?…超小型モビリティの未来

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EV、エコカーについて語る(Mobility Jam Talk Session)
EV、エコカーについて語る(Mobility Jam Talk Session) 全 15 枚 拡大写真

30日、お台場モーターフェスの「Mobility Jam Talk Session」において、現在各地で実証実験が行われている超小型モビリティに関するパネルディスカッションが行われた。

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パネリストは、柳下謙一氏(日産自動車先行商品企画室)、松永豪氏(トヨタ車体)、田嶋伸博氏(タジマモーターコーポレーション)、桃田健史氏(自動車ジャーナリスト)の4名だ。モデレータは伊藤慎介氏(経済産業省/産業革新機構)が務めた。

ヨーロッパ独自の小型車文化

まず日産自動車の柳下氏が、ルノーの『TWIZY』を利用した全国での実証実験や取り組みを紹介した。島内にアート作品が点在している豊島では、観光客用のレンタカーとしてTWIZYを利用しているが、瀬戸内国際芸術祭の会期中は8,400円/日という値段設定ながら稼働率が100%だったという。また、横浜市では10月より「チョイモビ」というカーシェアリングを行っており、会員がすでに3,000名ほどに達しているとした。

なお、TWIZYは2012年4月にルノーから発売されているが、すでに1万2,000台も販売実績があり、パリでもカーシェアリングサービスに利用されている。また、『TWIZY-F1』という0-100km/h加速が6秒台というレーシングタイプのモデルも存在する。

日産の取り組みにはグループであるルノーのEVが利用されているが、ヨーロッパにはメッサーシュミットなど小型車の文化が古くから根付いており、EVコミューターの開発や事例も進んでいる。日本には軽自動車という文化があるため、現在国交省を含めて新しいカテゴリの整備が進められているとした。

大きさやカテゴリよりEVであるかどうか

続いてプレゼンを行ったのはトヨタ車体の松永氏だ。松永氏は同社開発の『コムス』についての取り組みを紹介した。初代コムスは2000年に販売を開始しているが、これはあまり売れなかったという。そこで、一人乗りの車としての効率や機能性を向上させ、バイク感覚で利用できる4輪車として現行のモデルが開発された。コムスは、車両としては原付バイク扱いとなり(車検・車庫証明不要)、道交法では「ミニカー」となるため、普通免許が必要だがヘルメットや二段階右折は必要ない。

コムスも全国で実証実験や導入実績があるが、身近な事例としては「セブンイレブンが配達サービス用に全国で590台のコムスを利用していることだろう」(松永氏)とした。価格は現在、補助金込みで60万円くらいだが、さらなる普及のためには、まずこれを50万円前後までもっていきたいという。なお、12月には2人乗りコムスも発表される予定だ。

松永氏は、「これからは軽自動車か超小型モビリティかといった違いより、EVかそうでないかの違いが重要だ」とする。現状ではEVの性能で1~2人乗りが現実的となるが、CO2の問題からいずれは化石燃料の利用は制約されるとし、車の利用スタイルは変わらざるをえないと述べた。

車の原点を楽しんでもらえるようにしたい

3番目の田嶋氏は、タジマモーターコーポレーション会長であると同時にSIM-Driveの社長、電気自動車普及協議会の代表幹事でもある。この日はお台場モーターフェスのイベントのためデモ走行などもあるため、レーシングスーツでの登壇となった。

田嶋氏は、EVについて「もっとパフォーマンスの高いもの、もっとかっこいいもの」を追及すると同時に、きもちよく走る車はスピードを出すことだけではないとし、子ども向けにEVの「しまじろうカー」を作ったり、さまざまなコミューターを開発しているという。超小型モビリティは、プラットフォームを共通化しコストダウンによる普及を目指している。ボディ部分は、3人乗り、配達用、個人用など目的、用途、あるいは国によって好きにデザインしてもらうという考え方だ。

また、田島氏は「昔の車は『ヨタ8(トヨタ・スポーツ800)』でも『S6(ホンダ・S600)』でも今の軽より小さいくらいだった。『SR311(日産・フェアレディ2000)』などオープンカーも憧れの的だった。」とし、装備や快適性では軽に劣るかもしれない超小型モビリティによって車の原点を見直してもらえれば、またそのための努力を我々ももっとすべきだとした。

「~ありき」ではなく「ベストミックス」で考える

桃田氏は、エコカーブームに対して独自の視点から議論や意見を発しているジャーナリストだ。その桃田氏は、高齢化や過疎化、買い物難民など多くの問題から超小型モビリティの議論が高まる必然はあるとしつつも、この問題を考えるときは、「軽じゃだめ」「超小型モビリティありき」ではだめだという。あくまで「実需」を考えるべきだと主張した。

例えば都市部生活者なら、「自分で車を運転しない」という選択肢が可能だ。タクシーや公共交通機関が充実しているからだ。郊外ならば、実用重視の軽+自転車、共稼ぎや家族型のミニバン+軽+自転車、年金生活型のHV+徒歩、買い物難民型ならコミュニティバス+シニアカー+超小型モビリティといった「ベストミックス」による解決を考えるべきだろうという意見だ。

そして、環境問題、高齢化社会(高齢化の問題は高齢者が増えるのではなく、労働人口が減っていく問題だとする)、国際情勢などにより「いずれガソリンが200円、250円となったとき、地方でガソリンスタンドがなくなったとき、我々はどれかを選ばなければならない。多くの人はそこまで行かないとおそらく動かないだろう。そうなったとき、超小型モビリティは重要な存在となると思っている」とし、「そのためにはこの1、2年の業界の取り組みと利用者側から駄目出しを含む声をあげてほしい」と述べた。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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