国立天文台は、アイソン彗星について、地上からも航空機からも肉眼での確認は期待できないと発表した。
アイソン衛星は、日本時間11月28日19時前後から太陽・太陽圏観測衛星SOHOのマスク(遮光板)に入り込む直前の29日1時頃までの間に彗星の核が暗くなったことから、核の崩壊が始まり、大きめの破片に分裂したと解釈、かなり融けてしまったと見られる。
また、太陽観測衛星の画像を見ると、太陽から遠ざかるときの彗星の形状がV字型になっている。このV字型の尾の、上縁は核が崩壊し始めた頃に放出された塵が並ぶところ、下縁は彗星の軌道上に残された大きめの塵または破片群であると説明できるとしている。
V字型の上縁部分の塵は、中央の集光部から遠ざかるように拡散、下縁の方もやや薄くなっている。彗星核が活動している場合、上縁よりもさらに上側に近日点通過後に放出された塵の尾が伸びるはずだが、その兆候はまったく見られない。近日点通過後の現在の彗星核からの新たな塵の供給はないと考えられ、当初予想されていたサングレイザー特有のまっすぐな尾が明るくなることはないとしている。
近日点通過後に見えていた尾は、12月5日頃には約200平方度に広がると考えられ、新たな塵の供給がなければ、その輝度は天の川の最も濃い部分の5分の1以下と見積もられる。
これは天の川がはっきり見える暗い空でも、やっと視認できるかどうかのレベル。破片群による集光部は、見えたとしても、せいぜいぼんやりとした光が地平線に浮かんでいるようにしか見えないと見通し。