【マツダ アクセラ ハイブリッドS 試乗】4ドアハイブリッドではベストハンドリングな一台…高根英幸

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マツダ・アクセラ・ハイブリッドS Lパッケージ
マツダ・アクセラ・ハイブリッドS Lパッケージ 全 14 枚 拡大写真

マツダで初めてのハイブリッドは、そのコンポーネンツをトヨタから供給されている。『アクセラ』で実現したスカイアクティブとトヨタハイブリッド(THS)の融合はどんな走りをもたらすのか、非常に興味があった。

走らせてみると、まず伝わってきたのは『プリウス』ライクな加速感。スムーズといえばスムーズだがクラッチが滑っているような、CVTのようなスポンジーな感触だ。プリウスに採用されているTHSを採用してスムーズに制御している以上、エンジンとモーターの駆動をバランスさせるため、このフィーリングは免れようがないのであろう。

首都高速に乗っても、その加速感にもどかしさを感じていたのだが、そのうち”ある感覚”が伝わってきていることに気が付いた。

ハンドリングがいいのである。四輪の接地感、サスペンションの踏ん張り具合、舵に対する応答性が実に自然で、安心してコーナーに入っていける。ボディの高い剛性感をしっかりと伝えてくれるサスペンションは、乗り心地とのバランスもいい。

その乗り味は、アクセラの名に相応しいものだ。4ドアのハイブリッド車では最高のハンドリング性能を誇っていると言っていい。ハイブリッドだから燃費以外の性能は我慢かと思っていたから、これは嬉しい。リヤサスは容量アップのためにアテンザと同じサイズのダンパーを使うなど、チューニングには相当こだわっただけあって、コーナーに入っていく時のステアリングを切り始めた時の感触から、スポーツセダンとしてレベルの高い、自然な動きと安定感を伝えてくる。

それでもコーナリング中に勾配が変化したり、ギャップがあるようなシーンでは、若干リヤの重心の高さを感じさせる。しかしそれを伝えてくるということは、いかに作りがしっかりしているか、クルマの反応が確かであるかの証明でもある。それに、こんなことはリヤシートに乗員がいれば、あるいはトランクに重量物を載せればまるで関係なくなってしまうレベルのものだ。

もちろんアクセラの美点である、ドライビングポジションの自然さやシートのホールド感の良さはそのままだ。シフトレバーは短くて低いが、走行中に操作する機会は少ないないから、これはこれでいいと思う。

動力性能は1.5リットルエンジンのアクセラより高いと言われているが、加速感が今一つなことで速さを感じ難いのが惜しい。結果としてJC08モードで30km/リットルを上回るカタログ燃費を達成したのは立派だが、どうせなら少し燃費を落ちるとしても加速感を高めてくれると、もっと走りが楽しくなったハズだ。

ともあれアクセラ・ハイブリッドは、ハイブリッド専用ボディのライバルたちに比べて、クルマの基本性能をキチンと作り上げているという魅力をしっかりと伝えてくれた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

高根英幸/自動車&工業技術評論家(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
芝浦工大機械工学部卒。トヨタ直営ディーラーの営業、輸入車専門誌の編集者を経てフリーの自動車ライターに。クルマのメカニズムすべてに興味をもち、旧車からハイテクまで納得いくまで解析。ドライビングだけでなくメンテナンスやモディファイも自ら積極的に楽しむ。

《高根英幸》

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