【インタビュー】「“3K”でナビアプリに新たな魅力もたらす」キャンバスマップル 山本幸裕社長

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キャンバスマップル 山本幸裕社長
キャンバスマップル 山本幸裕社長 全 14 枚 拡大写真

投票によってモバイル製品・サービスの顧客満足を選ぶモバイルアワード2013。今年度交通系アプリ部門のうち「使いやすさ、操作性」および「自車位置精度」の部の双方で第1位を獲得したのが、キャンバスマップルの「マップルナビK」「マップルナビS」だ。

今回、同社の山本幸裕社長に加えマップルナビKでの「くまモン」採用に尽力した営業部皆本浩子氏に対して、ナビゲーションアプリ開発の現状と展望について話を聞いた。

◆「きれい」「かわいい」「こころづよい」の“3K”を掲げたマップルナビK

----:今回のモバイルアワードでは「使いやすさ、操作性」と「自車位置精度」の両部門での受賞となりました。

山本:アプリを開発する際、コンテンツなど華やかな方に目がいきがちですが、日々改良し尽力してきた描画技術などナビゲーションとしてのベースの部分が評価いただけたことがまず嬉しいです。

----:2012年6月に販売された『マップルナビS』は「シンプル」「スマート」「サプライズ」の“3S”をテーマとして掲げ、さらに低価格を実現してナンバーワンヒットになりました。

山本:地図メーカーでありコンテンツプロバイダーでもある(親会社の)昭文社の資産を活かして、中間マージンがない“現地直送”を生かしての戦略です。

----:そしてこの秋、「マップルナビK」が登場しましたが、どのような点で進化をはかりましたか。

山本:今回は「きれい」「かわいい」「こころづよい」という“3つのK”をテーマに開発しています。イメージが良いほうの3Kですね(笑)。 「きれい」は地図表示がより滑らかになったこと。新しくRetinaディスプレイに対応したことでジャギーがなくなり、見やすい地図となりました。「かわいい」は、熊本県のゆるキャラ「くまモン」とのコラボレーション。そして「こころづよい」は避難所情報など帰宅支援サービスの充実を指しています。

◆観光コンテンツとの連携を生かし実現したくまモンナビ

----:くまモンとのコラボレーションが実現した経緯についてお聞かせください。

山本:マップルナビKでは、熊本県内にエリアに1度行くと、くまモンが自車キャラクターとして選べるようになり、メニューもくまモン仕様にすることができます。この連携は熊本県出身の皆本からの声かけが発端になりました。

皆本:春先ころの話になりますが、これだけくまモンが人気で、いろいろな企業とコラボしているのに、「なぜうちでもしないのですか? うちでもやりましょうよ」と提案したところ、じゃあやってみようという流れになりました。そこからは急展開です(笑)。

-----:熊本県庁との交渉を成功に導いたのは何が要因でしょうか。

皆本:県庁は「熊本をアピールする目的でくまモンをライセンスしたい」という意向があります。スマートフォンのナビアプリということで、昭文社の観光コンテンツである『ことりっぷ』や『マップルマガジン熊本』との連携による熊本県への観光客誘致に好感を持っていただいたことが大きいですね。

それと私自身、熊本に何度か足を運んで県庁を訪問し実機を提示したこともよかったのではないかと思います。おかげで行楽シーズンの9月の連休前に間に合わせることができましたので、大変感謝しています。

山本:くまモン仕様の操作パネルは細部までユニークさを追求しています。くまモンバージョンでは、設定メニューへのボタンが辛子レンコンだったり、電話番号検索ページの受話器はスイカだったりと、熊本ご当地の名物をあしらっているんですよ。

皆本:メニュー画面では画面下をくまモンが高速で走りさるアニメーション(クマモンの足の速さは100m11秒)を入れるなどといったユーモアも盛り込んでいます。細かいところまで熊本県庁ブランド推進課からのフィードバックを得ながらの共作でした。単にナビとして使うだけでなく、手に取ってキャラクターを楽しんでほしいですね。

◆くまモンで電子書籍とナビ連携認知広げる

-----:先ほど自車位置が熊本県内に入ればくまモンモードが使用できるとご説明いただきましたが、それ以外にくまモンを登場させる方法はないのでしょうか。

山本:実は裏技があります。電子ガイドブックの「ことりっぷ」「まっぷるマガジン」は、10分間無料で立ち読みできる仕様になっているのですが、この機能を利用して目的地を熊本県内に設定することでくまモンを出すことができます。

-----:前バージョンのマップルナビS登場時から、電子書籍との連携を打ち出していましたね。ナビとガイドブックとの連携による相乗効果はいかがでしょうか。

山本:連携機能を打ち出したことが、マップルナビと電子ガイドブック双方の認知度を高めるよい効果をもたらしています。ガイドブックは無料版も含めますと、電子書籍としては画期的な80万ダウンロードを達成しました。今後も、「カーナビとつながる唯一の電子書籍」という強みを生かしてマーケティングしていきます。12月20日より開幕する大阪モーターショーでも当社はブースを出展し、マップルナビシリーズをPRします。

◆オフラインを生かし万が一の時の助けを提供できたら

----:マップルナビKでは、「こころづよい」というキーワードも出されています。災害時の帰宅支援という部分ではどのような機能が盛り込まれているのでしょうか。

山本:この機能は震災の際、社員の一人がポータブルナビ(PND)を用いて帰宅したという話をヒントに追加しました。通信を必要としないPNDは電波状況に関係なくいつでも使えます。同様に、マップルナビKも非通信型のオンボードアプリですので、この特徴を生かして万が一の時に助けになるような機能を提供できないか、という発想です。

そこで、昭文社のベストセラーである『帰宅支援マップ』書籍コンテンツを電子化しました。コンビニやガソリンスタンドの位置は「援」マーク、崖や頭上注意ポイントは「危」、避難場所は「避」、水場は「水」というふうに、電子化にあたり表示等を工夫して見やすさ・わかりやすさに配慮しているのも特徴です。

----:キャンバスマップルのマップルナビは、スマートフォン向けのナビアプリだけでなく、PNDやビルトインナビにも採用例が増えてきています。今後の展望は。

山本:地図ももちろんですが、ガイドブックに代表されるコンテンツを評価いただいて受けて採用されているという認識を持っています。昭文社にはデジタルデータになっていないコンテンツはまだまだ沢山あります。そして、そのコンテンツ連携を支えているのはナビゲーションの確かな技術力なのです。コンテンツ力と技術力を武器に、日本のナビゲーションに移動する楽しさと面白さをもたらしたいと考えています。その部分はマップルナビを一番最初に出した時からまったくブレてはいないのです。

《北原 梨津子》

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