欧州"クモの巣"ソーラーセイル衛星 スペースデブリ対策軌道実証に挑む

宇宙 テクノロジー
ゴッサマー・デオービット・セイル
ゴッサマー・デオービット・セイル 全 2 枚 拡大写真

ESA 欧州宇宙機関は、2014年に打ち上げを予定しているスペースデブリ(宇宙ゴミ)対策実証衛星『Gossamer Deorbit Sail(ゴッサマー・デオービット・セイル) 』計画について12月20日、最新の情報を公開した。

Gossamer(クモの巣)と名付けられた超小型衛星は、本体が15×15×25センチメートル、重量2キログラムとコンパクトなもの。1分程度で5×5メートルのセイルを広げることができる。セイルは地球低軌道のごく希薄な大気の抵抗を受けて衛星の周回速度を低下させ、落下して燃え尽きることを目的としている。

セイルはカーボンファイバー製ブームに、アルミを貼りつけた厚さ7マイクロメートルのカプトンフィルムを取りつけている。非常に軽量だが、重量700キログラムの衛星を軌道から離脱させるにも十分なサイズ。

ゴッサマー・デオービット・セイル衛星はESAの電気通信システム先進的研究プログラム資金の元、サリー大学宇宙センターが開発し、軌道上実証に向けた一連の試験を終えた。イリジウムやグローバルスターなどの通信衛星が位置する、高度700キロメートルまでの地球低軌道で利用することを目的としている。

衛星は2014年中に打ち上げられ、数週間はソーラーセイル推進の実証を行う。その後、大気の抵抗を十分に受けられるようセイルの向きを変え、軌道離脱の実証に挑む。高度600キロメートル程度であれば、2~12カ月以内に元の軌道から落下して燃え尽きることが予想されるという。

ESAが2008スペースデブリ対策として提案した行動規範では、運用を終えた衛星が25年以内に軌道を離脱して地球に再突入し、他の衛星との衝突などの事故をが起きないように対策を求めている。日本、アメリカもこの規範に賛同しており、25年ルールが国際的な基準となりつつある。セイル展開式は、軌道変更のために衛星に追加の推進剤を搭載するよりも軽量で効率的だと考えられており、サリー大学宇宙センターの構想では、低軌道で10~1000キログラムの衛星にゴッサーマー衛星のセイル技術を応用可能。また、将来はより高高度の起動で、太陽輻射圧を利用して運用を終えた衛星の軌道を変更する応用も検討されているとのことだ。

《秋山 文野》

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