ロシア船船客の救出に尽力中
南極海で流氷に閉じ込められたロシア船「アカデミク・ショカルスキー」を救出しようとして中国とオーストラリアの砕氷船が駆けつけたが近寄れず、結局中国砕氷船のヘリコプターがロシア船とオーストラリア砕氷船の間で52人の乗客をピストン輸送したが、その救出活動中に中国砕氷船も流氷に閉じ込められてしまった。砕氷船は決して潤沢とはいえない予算で南極観測を支える作業を行っているが、海上で人命に関わる事故があれば救助活動をすることが至上命令でもある。その救助活動の経済的時間的負担は観測活動に食い込んでいく。「もともとあのロシア船の能力ではあそこまで行くべきではなかった」という批判や、「ロシア船の保険会社が経費を払ってくれることを期待している」との声も出始めている。
12月24日にロシア船が流氷に閉じ込められて以来、中国砕氷船「雪龍」と豪砕氷船「アウロラ・アウストラリス」が船の救出活動を試みたが、流氷の厚さは砕氷能力を超えており、近づけなかった。結局、数時間をかけて乗客だけを豪砕氷船に移し、ロシア船の船員22人はそのまま流氷が緩むまで待ち、豪砕氷船は52人を載せたまま豪観測基地に物資を運び、1月下旬にホバートに帰港する予定になっていた。
しかし、1月3日には豪海事安全局(AMSA)kが、「中国砕氷船が救出活動終了後、潮が好適な条件になった時を見計らって流氷からの脱出を試みたが、厚い流氷に阻まれて動けなかった」と発表している。
2隻の船が流氷に閉じ込められる結果になったため、豪砕氷船も豪観測基地への物資輸送を延期し、流氷の少ない海面で待機し、両船の状況を見守っている。オーストラリア南極部では、「ロシア船が閉じ込められたコモンウエルス湾での救助活動のため、南極観測活動の経済的時間的資源は限界に達している。ロシア船の保険会社が救助活動の経費を負担することを期待している。しかし、南極部にとってはこれは単純な経済的コストにとどまらないため、ドルでいくらという数字を出すのは難しい」と述べている。(NP)