日本海事協会は、昨年12月に国際船級協会連合(IACS)で採択されたバルクキャリアと油タンカーのための共通構造規則である調和CSRに対応したソフトウェア「PrimeShip-HULL」(HCSR)を世界に先駆け公開した。
ソフトウェア「PrimeShip-HULL」は、調和CSR採択版に対応する算式要件の計算機能や、有限要素法(FEM)に基づく直接計算要件の強度評価機能に加え、商用CADとのインターフェース、算式ソフト用データと直接計算ソフト用データの連携機能を備えている。調和CSRによって貨物区域全域に適用される直接計算の際、船体前後部のFEMモデル作成を含めた多大な解析工数を大幅に削減することが可能となる。
また、算式要件と直接計算要件を満たすためめに必要な寸法、補強材の追加を提示する機能もある。これら最適化支援機能により、調和CSRに適合した、最適な構造の検討を迅速に行うことが可能となるとしている。
調和CSRは、2008年からIACSで調和作業が開始され、第1次草案(2012年7月)、第2次草案(2013年4月)が発表され、昨年12月に採択された。
同協会は、IACSにおけるCSRの調和作業の開始当初から、造船設計者の要望を調査、従来のソフトウェアとは異なる強力な設計支援機能を備えた「PrimeShip-HULL」を開発した。
これまで、調和CSRの第1次草案と第2次草案に合わせてこれらに対応するバージョンを公開してきたが、IACSで採択された調和CSRに対応して、いち早く「PrimeShip-HULL」の最新版を公開した。
この「PrimeShip-HULL」を同協会の顧客に無償で提供し、調和CSRによる構造設計をサポートする。今後も、ユーザーからの要望に基づく機能強化を継続的、迅速に実施し、調和CSRによる構造設計の効率化と品質向上に貢献するソフトウェア環境を提供していく。