【スズキ ハスラー 試乗】平坦路、少人数なら楽しく充実した装備が魅力…高根英幸

試乗記 国産車
スズキ ハスラー X
スズキ ハスラー X 全 7 枚 拡大写真

『ハスラー』という名に懐かしさを感じるのは、筆者と同じ中年以上のバイク好きではないだろうか。かつての2ストオフロードバイクの名前を与えたのは、『ジムニー』に続くアウトドア軽カーとして育てたい、そんな思いがあるからだろう。ルックスもタフさと可愛さが共存した、個性的でユニークなものだ。

【画像全7枚】

ベースとなっている『ワゴンR』と比べ、25mm車高が高いだけだが、乗車感覚は全然違う。タイヤ外径は少し大きいだけなのに、ヒップポイントが高くなっているから、眺めが違うのである。もっと大きなクルマにゆったりと乗っている気分にさせられるのは気分がいい。運転席はシートリフターにより40mm上下動するから、さらに自分好みの視界やドライビングポジションを作り上げることが可能だ。

インテリアのデザインもなかなか凝ったものだ。メッキやシルバー調で高級感を強調する最近の傾向とは180度違った、カジュアルでポップなムードはエクステリアとも合っているし、何より乗っていて楽しくなる。

メーターパネルのボトムには燃費などを表示するマルチインフォメーションディスプレイも装備している。この液晶部分はキーをオン/オフにした時に、それぞれオープニングとエンディングのアニメーションが現れて、それがなかなか楽しい。ハスラーの顔に表情を付けたり、町や野山を走る姿だったりと、4種類のパターンがある。

フロントウインドウが立ち気味でボクシーなデザインの割には風切り音も小さく、80km/h前後のクルージングでの静粛性は軽乗用車としても高いレベルにある。

試乗したのは最上級グレードとなる「X」で、本革巻きステアリングやアルミホイールも標準装備だが、約137万円でNAの「X」を購入するなら、Gターボのセットオプション装着車もほとんど同じ価格だから、迷うところだ。

さすがにNAの660ccでは加速性能はそれなりだ。発進にモタつきなどは感じられないが、一気に60km/hまで加速したいシーンなどでは、エンジン回転数を高回転にキープしたまま減速比だけが変わっていくCVT特有の加速感の薄さがある。

一人で乗ることが多かったり、平坦な道路がほとんどの地域に住んでいて、充実した装備を重視したい人が選ぶグレードと言えそうだ。

*一部試乗車の仕様が特殊だったため、初期の原稿ではグレードに勘違いがあり誤記がありました。お詫びして訂正いたします。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア・居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

高根英幸/自動車&工業技術評論家(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
芝浦工大機械工学部卒。トヨタ直営ディーラーの営業、輸入車専門誌の編集者を経てフリーの自動車ライターに。クルマのメカニズムすべてに興味をもち、旧車からハイテクまで納得いくまで解析。ドライビングだけでなくメンテナンスやモディファイも自ら積極的に楽しむ。自宅1Fの書斎兼ガレージには整備用リフトも完備。著書に「クルマのハイテク」(ソフトバンク・クリエイティブ刊)

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 550馬力のマッスルカー『チャージャー スキャットパック』、4ドアの米国受注開始…6万ドル以下で最強のセダンに
  2. SUBARU公認の結婚指輪、ペアのリングから六連星が浮かび上がる…12月24日発売
  3. トヨタの米国ミニバンが「エスティマ難民」の受け皿に? 新型発表で高まる「日本導入」への期待
  4. 「ピンチな時に覚醒する日産」新型ティアナの大進化に、SNSでは「セダン復活」熱が再燃
  5. 日産『ティアナ』新型、HUAWEIの最新コックピット搭載で約310万円から…広州モーターショー2025
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る