いすみ鉄道のキハ52、3月から「首都圏色」に

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観光急行列車として運転されているいすみ鉄道のキハ52 125。現在はクリームと赤の2色だが、3月以降は「首都圏色」と呼ばれる朱色1色の塗装に変更される。
観光急行列車として運転されているいすみ鉄道のキハ52 125。現在はクリームと赤の2色だが、3月以降は「首都圏色」と呼ばれる朱色1色の塗装に変更される。 全 2 枚 拡大写真

大原(千葉県いすみ市)~上総中野(大多喜町)間26.8kmのいすみ線を運営している第三セクター・いすみ鉄道はこのほど、観光急行列車で運用しているキハ52形(キハ52 125)の車体塗装を、いわゆる「首都圏色」に変更すると発表した。

キハ52形は、キハ20系列の国鉄一般形気動車のうち、勾配区間向けにディーゼルエンジンを2台搭載して出力を強化した車両。1958年から1966年にかけて112両が製造され、当初はクリームと赤の2色塗装(一般色)が施されていた。その後、塗装作業の省力化によるコスト削減を図るため、1970年代後半からタラコの色に近い朱色1色の塗装への変更が進められた。この塗装は首都圏で運用されていた一般形気動車から普及したため「首都圏色」と呼ばれている。

キハ52 125は1965年の製造。1987年の国鉄分割民営化時にJR西日本が継承し、北陸方面の越美北線や大糸線などで運用された。塗装は他のキハ52形と同様、一般色から首都圏色への変更を経て、JR西日本時代には白と緑ストライプの2色塗装などに変更されている。

2010年には新型車両への置き換えに伴い廃車となったが、いすみ鉄道は国鉄時代の鉄道の情景を再現するための観光資源として同車を購入。初期の塗装である一般色に塗り替えた上で、2011年4月からいすみ線の観光急行列車として運転を開始した。しかし、外板塗装の劣化が見られることから、自動車の車検に相当する法定検査の期限(2015年)を迎える前に、再塗装することを決定。塗装費用の削減や塗装期間の短縮を図るため、首都圏色に変更することにした。

同社の鳥塚亮社長はコスト削減のほか、営業面での利点も挙げる。自身のブログで「一般型気動車の色としては今のツートンカラーが一番しっくりきてると思いますし、タラコと呼ばれる首都圏色には、何となく違和感がある」と述べる一方、「(周囲の意見は)大ざっぱにいうと50歳を境に、タラコ色賛成派と反対派に分かれる」という。

現在の50歳以下は、首都圏色が全国に定着した1980年代前半、中高生だった。鳥塚社長は「(50歳以下の人にとっては)人生のとても重要な、多感な時期に出会った思い出の車両がタラコ色だった」とし、「商品としてのタラコの可能性がずいぶん大きいんじゃないか」と述べている。

一般色のキハ52 125は貸切列車や臨時列車を除き、2月16日限りで運用を終了する予定。塗装変更後の運用開始は3月上旬を予定している。これに伴い、2月1日から記念切符の発売や記念乗車証の配布を行う。

また、2月5・7日はキハ52単行の臨時運行も実施する。運行時刻は大多喜9時28分発~上総中野9時50分着、上総中野9時55分発~大多喜10時17分着、大多喜10時36分発~大原11時17分着、大原12時02分発~大多喜12時40分着、大多喜13時47分発~大原14時24分着、大原14時53分発~大多喜15時33分。大多喜~上総中野間は各駅停車の普通列車、大多喜~大原間は急行列車として運転する。

なお、2月22・23日の急行列車は、いすみ200形3両を使用し、急行料金不要・指定席設定なしの列車として運転する予定。いすみ200形は3月末頃に1両の引退が予定されているため、3両編成での運用はこれが最後になる見込みだ。

《草町義和》

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