麻生財務相、大臣間の覚書「詳しく知らない」...自賠責保険運用益の一般会計への繰り入れで

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麻生太郎財務相兼内閣府特命担当大臣(28日・財務省)
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麻生財務相は28日、国土交通省が2013年度と2014年度の2度の予算の概算要求で繰り戻しを要求した、いわゆる一般会計の隠れ借金について、「詳しく知らない」との認識を示した。

この借り入れは1994年と1995年の2年度にわたって、自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れられた1兆710億円の一部。元利合計約6035億円(13年度見込み)だ。

税金ではなく、自動車賠償責任保険の保険料の運用益から捻出された。自賠責保険は、公道を走る原動機付自転車以上のすべての車両に義務付けられている。すでに一部は保険料引き下げという形でユーザー還元され、さらに残りが積み立てられ、健康保険制度に頼らない独自の自動車事故被害者対策費として使われている。一般会計への繰り入れ分は、この積立金を取り崩したものだ。

繰り入れそのものは、約20年前のことなので、本来であれば返済(繰り戻し)期限に到達している。しかし、自民党政権下で94年、99年、03年の3回、民主党政権下で2010年の1回、それぞれ財務大臣と国土交通大臣の2者間で取り交わされた大臣間覚書によって、期限が延長された。その間、返済は03年度の61億円を最後に止まったままだ。

現在有効な2010年の大臣間覚書では、2012~2018年度の間に繰り戻しを行なうと記されている。だが、国土交通省の来年度事項要求も通らなかった。査定を行なう財務省が、主な理由を財政難とした上で、返済しなくても自動車事故の被害者対策事業は支障なく行なえるという判断をしたためだ。

閣議後の会見で麻生氏は、返済の見通しについても「(大臣間覚書を)詳しく知らないと答えた以上、詳しく答えられない」と、述べた。

金融庁では29日に自動車損害賠償責任保険審議会が開催される。麻生氏は、この金融庁の内閣府特命担当大臣(金融)でもある。審議会では毎年、各委員から早期に繰り戻すようにという要請が出ている。

《中島みなみ》

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