NSW公共交通機関不可解な改革

鉄道 行政

不鮮明な線名と無意味なアルファベット

 2月12日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、シドニーの公共交通機関の停留所標識が今までのシンボルの代わりに何の意味かとっさにつかめないアルファベットになると報道している。

 シドニー鉄道局は、新しいロゴに100万ドルを使ったと報道されている。日本から来ると感じるが、シドニーの鉄道駅の駅名看板には隣駅が表示されていない。少し前までプラットフォームの端に次の駅を記した標識を備えたことがある。電車が発車し、プラットフォームの端まで来ると次の駅が分かる仕掛けになっているが、なぜか駅名を袋文字で書いていた。夜などはまったく読めない。垂直に流れる停車駅表示は一つ見過ごすと一周するまで待たなければならない。こういう案内は土地に不案内な人がいちばん利用するはずなのだが、設計する関係者は不案内な人の立場に立って考えるという発想がまったくないようだ。

 鉄道の線名も奇妙なことをしている。終着駅や経路を示す線名、「North Shore, Northern & Western Line」の代わりに「T1」、「Airport, Inner West & South Line」が「T2」、「Bankstown Line」が「T3」、「Eastern Suburbs & Illawarra Line」が「T4」、「Cumberland Line」が「T5」、「Carlingford Line」が「T6」、「Olympic Park Line」が「T7」だという。SMH紙によるとさらに不可解な変更があるのだという。

 これまでバス停や鉄道駅はバスと乗車する人、鉄道駅は電車などのシンボルで表されていたが、これを大きくB、T、F、Lなどで代えるのだという。これを政府は、「シドニーの複雑な交通機関網を住民や旅行者にも分かりやすくする」のだという。「Design Institute of Australia」が、メンバー30人に考えを聞いたところ、90%が変更に反対したという。会長のジェームズ・ハーパー氏は、「初めてシドニーを訪れた人が、Tの文字を見て何のことか分かるだろうか?」と呆れている。また、グラディス・ベレジクリアン運輸相にデザイナーの懸念を訴えたところ、「NSW州政府は、交通機関利用者がそれぞれのニーズにあった形で交通機関情報を知ることができるように努力を続けている」というごくおざなりな返事を受け取っただけだとしている。

 デザイナーの中には、「日本や中国から来た旅行者がTの文字を見て何のことか分かるだろうか? ヨーロッパ中心的な考えでなく、オーストラリア/アジアという条件の対策を考えるべきではないか」としているが、「Transport for NSW」のスポークスマンは、パリ、ペルリン、ニューヨーク、バルセロナでは文字の方が分かりやすいとされている。また、文字の方が遠くから見える」と語っている。また、交通機関の標識の経験を持つデザイナーは、「なぜ、そんなに根本的に変えるのか? どこでどういうアドバイスを受けたのか? ニューヨークの地下鉄はアルファベットを使っているが、交通機関の記号としては使っていない」としているが、「Transport for NSW」側は、「新しい文字方式の方が分かりやすいという利用者の声が圧倒的」としている。(NP)

《Nichigo Press》

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