国土交通省はこのほど、日本国有鉄道清算事業団(国鉄清算事業団)の債務処理について、2012年度の実施状況の概要を発表した。
国鉄清算事業団は1987年4月1日、国鉄分割民営化に伴い発足。国鉄長期債務のほか、JR各社の株式やJR各社が引き継がなかった土地などの資産を引き継いだ。清算事業団は土地やJR株式の売却益などで債務の償還を進めることになっていたが、地価の下落や株式市場の低迷で売却益が当初の見込みを下回り、その一方で支払利息の負担により債務が膨張した。
このため、1998年には清算事業団を解散。債務は国の一般会計に組み込んで処理することになった。一方、清算事業団が保有していた土地や株式などは日本鉄道建設公団(現在の鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が引き継ぎ、国庫補助金や土地の売却益などを年金などの支払いに充てている。
国土交通省によると、一般会計に承継された清算事業団の債務残高は2012年度末時点で18兆4054億円。1998年度末(24兆98億円)に比べ5兆6044億円減った。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の2012年度の特例業務は、資産の売却収入が251億円、年金負担金などの支払いが1619億円だった。
実施状況は2月18日の閣議で決定され、今後、国会に対し報告が行われる予定。