【ホンダ ヴェゼル 試乗】 HVのジャズブラウン内装にこそ“らしさ”がある…青山尚暉

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かつてYumingのコンサートが行われた逗子マリーナのプールサイドにたたずむヴェゼル。海を見ていた午後。
かつてYumingのコンサートが行われた逗子マリーナのプールサイドにたたずむヴェゼル。海を見ていた午後。 全 28 枚 拡大写真

ヴェゼルの試乗会場は、2004年までYumingの夏のリゾートコンサート、Surf & Snow in ZUSHI MARINAが行われていた逗子マリーナのシーサイドリビエラ。

なんだか「海を見ていた午後」な気分になれる場所です。しかしこうしたリゾートの風景に、ヴェゼルはとてもよく似合う。

そんなヴェゼルの個性、デザイン性を100%味わうなら、HVのZグレード、ジャズブラウン内装がいい。

HVはガソリン車と違い、メーター、シフターも専用。特にハイデッキコンソールまわりのデザインは秀逸で、そこがHVのZグレードのみ選べるジャズブラウン内装であれば質感、高級感は400~500万円クラスの高級車を思わせる見栄えになるからだ。

17インチのノーマルタイヤを履き、ザックス製ダンパー(振幅感応型ダンパー/全車)を装着するHVのZグレードで走りだせば、パワステはズシリと重く(というか、重すぎると感じるかも)、乗り心地もかなり引き締まったものだった。特に後席では路面によって強い突き上げ感が気になるかもしれない。オデッセイ以降、ホンダの新型車は確信犯的に硬めのスポーティーな乗り味を「良し」としているようだ。

その分、操縦性は重厚かつ正確で、SUVとは思えない低重心感覚を示す。カーブやレーンチェンジを素晴らしくビシリと安定したままこなしてくれる様は痛快だ。ロードノイズも抑えられ(荷室のハードボードが遮音効果を発揮している)、日常域からクルージングに至るまで実に静かでもある。

エンジンは走りだしてすぐに始動する。プリウスのような2モーターのHVとはそのあたりが違う。いや、フィットよりエンジン主体の走行となるのは、やはり29・5psのモーター出力にして車重が1270kgもあるからだろう。

もっとも、アクセルオフでは頻繁にEV走行モードに入る。高速主体のクルーズでは19km/リットル前後の実燃費が可能なのだから、SUVとしては抜群の燃費性能と言っていい。

HV専用となるツインクラッチの7速DCTは初期型フィットで見られたギクシャク感がほぼ解消され、ほぼATのようなスムーズな変速が味わえたのは収穫だった。

動力性能はNAモデルとは別格だ。出足はもちろん、高速走行中の追い越し加速でも余裕たっぷり。エンジンの回転フィール、音質が気持ちいいわけではないのは残念だが、モーターアシストによるトルクのツキ感はガソリン車では味わえないHVらしさである。

ブレーキタッチもごく自然で、アクセルの"踏みすぎ"をペダルの半力で教えてくれる「アクティブフォースペダル」も、おせっかい機能!?とはいえHV専用装備となる。

メーター回りの照明がレッドに変わるスポーツモードにセットすれば、さらに切れ味ある走りが可能。まぁ、それに乗じて飛ばし始めると、さすがに燃費は悪化するわけですが・・・。

今回、NAの16インチタイヤ装着車とこのHVの17インチタイヤ装着車に試乗した結論は、乗り心地面を多少我慢できるなら、くり返すけれど迷わずHVのZグレード(FFのみ)、ジャズブラウン内装だ。その理由は走りの質感で圧倒し、ほかのグレードとは別物のデザイン性、満足感が手に入るから。

おそらく走り好きのためのベスト・オブ・ヴェゼルは、前後バランスにもっとも優れた、開発陣もイチオシするHVの4WDだろうが、そうなるとXグレードまでとなり、例のジャズブラウン内装が選べなくなるのが痛し痒(かゆ)しではある。

そうそう、ペットを乗せるのであれば、やはり乗り心地面でややマイルドかつ後席~荷室の快適度が高まるガソリン車の16インチタイヤ装着車を薦めたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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