【プリウスPHV+デジコア808i】究極の音はこうして作られる、ソニックデザインのデジタルプロセッサーアンプを導入

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Digicore808iをプリウスPHVにインストールした。バックスキン調の仕上げを行ったボックスを制作し、美しくインストールされた
Digicore808iをプリウスPHVにインストールした。バックスキン調の仕上げを行ったボックスを制作し、美しくインストールされた 全 27 枚 拡大写真

ついに禁断のカーオーディオ地獄に足を踏み入れた。

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ソニックデザインのメモリープレーヤー内蔵デジタルプロセッサーアンプ『デジコア808i』(98万)を購入してしまったのだ。今回はインストール編として、ハイエンドカーオーディオの異次元の音が作られてゆく過程をレポートしたい。

助走はプリウス専用『SonicPLUS』(8万9000円)の試聴だった。純正スピーカーからの置き換え用として、純正カーナビとのマッチングも素晴らしく万人におすすめできるエンクロージュア一体型スピーカーセットである。

その1年半後に次の試聴の誘いを受けた。それが『SonicPLUS THE CREST<ダブルクレスト>』(83万円)、プリウス専用SonicPLUSの上級機の位置づけだが価格も性能も大きく上がった。生い立ちであるハイエンドカーオーディオブランド「ソニックデザイン」の牙が剥かれた製品である。

一体鋳造アルミダイキャスト製エンクロージャに小径ユニットの組み合わせはソニックデザインのオリジナルな思想。音を聞いてしまった自分は「スイッチ」が入ってしまったのだろう。カーオーディオへの偏見が崩れ去り、そこで聴く音楽に新しい発見を求める毎日がやってきた。ここまでが前回のレポートである。

「カーオーディオのほうが音が良いのではないか」このような心境の変化に嫉妬したのか、我が家のホームオーディオのキーマンであるクレルのパワーアンプの調子が悪くなった。調整中のピンチヒッターとして入手したのが中古価格でわずか3万円のデジタルアンプは、フライングモール社の左右セパレート型で前オーナーの回路チューニングも入った一品。ところがこれを聞いてぶっ飛んだ。小型軽量(1chあたり約4kg)のデジタルアンプが定価100万コースのクレル(約35kg)を凌駕している。まもなく調整から帰ったクレルは元のラックに収まることはなく現金化されてしまった。

妻に対する言い訳のようで恐縮だが、つまり現金化されたクレルその他のホームオーディオを元ネタにカーオーディオショップの戸を叩いたのが事の発端である。

◆Digicore 808i

訪問したのは千葉市蘇我駅近くの「Sound Park」(http://www.soundpark.ecnet.jp/)。実はカーオーディオメーカーであるソニックデザイン社と同じ資本のグループ会社だ。しかし、ソニックデザインの佐藤敬守社長によると「メーカーにとっては、ショップのひとつとして運営されている。お客さんの要望でソニックデザイン以外の商品のインストールもする」ということなのだ。ならばということで、純正カーナビのアンプで駆動している『SonicPLUS THE CREST<ダブルクレスト>』が発する魅力的な音を、パワーアンプの追加などどのようにグレードアップすべきかSound Park店長の清水忠則店長に相談したのである。

はたして清水店長は信頼できそうな寡黙な職人タイプだった。言葉巧みに高級オーディオを売りつけるタイプの人物でないことは会ってすぐに分かる。過程は大いに端折るが、「デジコア808i(98万)はどうですか」と切り出したのは実は私である。

ソニックデザインのThe CRESTは、一体鋳造アルミダイキャスト製エンクロージャに小径ユニットを組み合わせる。カーオーディオの世界では常識破りなスピーカーである。デジコアは同じブランドゆえ、いわばマッチングが保証されたシステムといえる。高効率デジタルパワーアンプ部と、カーナビからのアナログ音声出力もデジタル入力を一旦デジタル変換したうえで調整などを行えるデジタルプロセッサー部と、コンパクトフラッシュ内に収められたWAVファイル、MP3ファイルを再生するプレーヤー部とを一体化したオールインワンのデジタルプロセッサーアンプである。

最終的に全部やらないと気がすまない自分の性格を考慮すると、それぞれにそれなりの投資するよりも多少高価なオールインワンは結果的に総額を抑えられると考えた。

ソニックデザイン佐藤社長もまた「ここからは趣味の世界です」として特徴を説明してくれた。

「これまでハイエンドの高出力なアナログアンプは発熱が多くそれが故障の原因となっていました。そして発熱体であるがゆえ、微細な信号を扱うデジタルプロセッサーとは別ユニット構成にならざるをえませんでした。複数ユニットと発熱が車内という限られたスペースでのインストールを難易度の高いものにしていたのです。」

デジコアが採用するデジタルアンプは発熱が少なくアルミの筐体は密閉型を採用しているため故障の要素が少なく耐久性に優れる。デジタルプロセッサーとメモリープレーヤーを一体型にできるのも発熱が抑えられているゆえ。CDからリッピングされたメモリー内のデータは、プレーヤー→プロセッサー→パワーアンプと一切のケーブルを通ることなく出力される。これは音の鮮度やノイズ混入に対してアドバンテージとなるだけでなく、取り付けを容易にし、クルマの重量アップを減らし、省スペースと省エネルギーに繋がるという。

「デッドニング不要のエンクロージュア一体型スピーカーが、結局は軽く耐久性に優れ、安価な取り付けに対応していることと思想は同じです。」(佐藤社長)

SonicPLUSスピーカーの時もそうだったが、ソニックデザインの製品は高性能であるというアピールだけでなく、高い耐久性ゆえの資産性を必ず強調する。ヴィトンのバッグもメルセデス・ベンツもその耐久性とアフターサービスによる資産性ゆえ高価であることが許されている。ハイエンドを自称するブランドの必須条件とも言える要素なのだ。

そのメルセデス・ベンツとソニックデザインのコラボレーションは年々強固になっている。現在純正カタログモデルに採用されているパッケージオプションは、CL Sound Suite(390万)、E-Class Sound Suite(175万)。採用されているのはデジコア(仕様は一部違う)である。ソニックデザインの場合、スピーカーは車種専用だがデジコアはどんな車種にも対応する。将来のマイカー変更に対しても長年使い続けることができるというポイントは重要である。

◆6ユニット6chのインストールプランに同意する

このように物欲と経済性(!?)でアプローチする私に対して、清水店長のインストール提案は目からウロコである。

「デジコアは8chのデジタルアンプを採用しています。インストールは現在ツイーターとして使っているThe CREST<ダブルクレスト>の52mm一体鋳造エンクロージュアユニットを本来のワイドレンジドライバーとして500Hz前後の帯域まで担当させます。そして現在フルレンジとして稼働させている前ドアの77mm2本を一体鋳造エンクロージュアにそれぞれ収めたウーファを2ch×2の合計4chで駆動します。デジコアの8chのうち52mm×2+77mm×4の合計6ユニットに対してアンプ1chづつを与え計6chを使います。」

ソニックデザインのユニットは52mmも77mmもすべてインピーダンスは4オーム共通。それがタイムアライメントの調整などが同一条件となることもマルチチャンネル駆動でのメリットになる。一方カーナビの案内音声はカーナビのアンプでリアドアのユニットから発することになる。前回同様リアドアユニットは音楽再生には利用されない。

現在の純正カーナビをアンプとして使っている現在のシステムは2chで6本のユニットを駆動していることを考えれば、高い出力と高い品質のデジタルアンプを1ユニットにつき1ch与えるデジコアのシステムは高い説得力を持つ。軽自動車のエンジンで高級車を走らせているのが今ならば、デジコアのシステムは8気筒エンジンを車輪ごとに4つ与えてデジタルで統合制御するイメージか。

ホームオーディオも一部、英国LINNのようにマルチアンプ・マルチユニットで統合システムを提供するブランドはあるが稀である。デジタルプロセッサーの普及といい、カーオーディオの世界のイノベーションは確実にホームオーディオを上回っている。

私はホームオーディオの資産をカーオーディオにシフトする決断をした。こうしてデジコアのインストールを清水店長に任せることとなった。

◆クルマを預けて10日後

準備完了の連絡を受けてから、あらためてクルマを預けること10日後、インストール完了の日がやってきた。

早く音を聞きたい心を抑え、先に清水店長にインストールのあらましを語ってもらった。

「プリウスへのインストールは経験がありましたがPHVは初めてでした。ノーマルとの違いはリアのラゲッジスペース下部に収まっている大きなリチウム電池です。よってこのスペースを使ったインストールは断念しました。充電ケーブルを収納するスペースの一部を仕切り、アルミ製の特注パネルを制作してデジコアを縦に固定しました。

ディーラーでのメンテナンス性を考慮して配線はカプラー装着としました。クルマを乗り換えるときに、オーディオを取り外してもノーマル車として復旧できるようにクルマへの加工は目立たない位置への最小限となっています。」

ご覧のとおり、見事なステルスインストールである。ラゲッジへの犠牲も皆無に等しい。デジコアはCF(コンパクトフラッシュ)スロットを持ちそこへのアクセスが発生するのだが、一番手前位置の床下へのインストールはこれ以上ないベストなポジションとなっている。

◆プロも認めるリスニングルームとしてのプリウスPHV

いよいよ清水店長と車内に乗り込み、操作方法を確認しつつ音出しをした。

「プリウスPHVいいですね。欲しくなりましたよ。」

寡黙な店長がいきなりリップサービスかと驚いたがいくつかの理由があるという。

「マイルーム機能というんですか。充電しながらだとアイドリング不要。夏場はエアコンを、冬場はシートヒーターをつけたまま長時間オーディオ再生できますね。屋内のファクトリーでのサウンドチューニングが多い私はその価値がよくわかります。

あとはプリウス全般に言えることですが、純正スピーカーの取り付け位置がいい。Aピラーが寝ていてダッシュボードの奥行きが長いのがプリウスの特徴です。高さもふくめて52mmワイドレンジユニットが力を発揮します。またスピーカースペースに余裕があるため密閉エンクロージュアの容積がたっぷりとれていることもポイントが高い。ウーファーをフロントドア装着できドライバーの耳よりも前にあることも大きなアドバンテージです。」

自分でPHVのメリットは感じていたが、リスニング空間としてのプリウスは遮音性が低く適さないと思い込んでいただけに、プロフェッショナルのこの指摘は嬉しい。清水店長に言わせれば遮音性能を上げることは、あとからできるので大きな欠点とならないという。

「今回、ワイドレンジとウーファーのクロスオーバーを400Hzにしました。測定と聴感を繰り返して決めました。タイムアライメントを1ステップあたり7.7mmづつ変化させて左右の定位とともに前後の定位も追い込みます。特にクロスオーバー周辺は念入りに行います。

デジコアのデジタルプロセッサーはクロスオーバーの設定、タイムアライメント、位相、イコライザーなど設定項目が多いうえにステップも細かく高精度なことが武器となります。一方で、無闇に使えば迷路にハマって出口が見えなくなることもあります。」

実際に聞くとその精度に驚く。400Hzという帯域は人の声を含む重要な中間域である。しかしふたつのユニットのクロスオーバーは見事に繋がり、その定位は微動だにしない。マクロに視点を移しても響きの質が変化しないのは、ユニットの相似性と清水店長のチューニングの賜物だ。

◆モノだけでなく、オトにも責任をもってくれる

今回のインストール費用は基本システムで186,270円(消費税5%込)。他にナビ連動やデジタル入力ケーブルなどもろもろのオプションを加えて合計で40万程度の見積となった。当初はもっと楽観視していただけにショックではあったが、今となっては納得である。

取り付けの精度や美しさだけでなく、最終的に発せられる”音”に責任をもってくれるところがこのインストールの肝であると思う。そこにインストーラーの技術と経験が惜しみなく発揮されていることに、私はこの費用を安いとすら感じている。

ホームオーディオを楽しむためのルームチューニングの価格を調べたことがある。8畳の部屋でおおよそ300万円というのが相場だそうだ。よって通常はどんなマニアでもルームチューニングまで依頼することなく、機器やアクセサリーを交換しつつ自分の音を手探りで見つける。オーディオの価格は”モノ"の価格であり、その製品がどの部屋でどのようにセッティングされるかは購入者次第なのだ。

一方でハイエンドカーオーディオはリスニングルームであるクルマごと預け、物理的な施工だけでなくマルチチャンネル駆動のデジタルプロセッサーによって、ソフトウェア的にもその製品の限界性能を引き出したうえで納車してくれる。ルームチューニングと機器セッティングまでもがその価値に含まれる。

さらにSound Parkではエージング後の再調整も価格に含まれるという。

「機器やケーブルのエージングにより音が変わってゆくと思います。またお客さんの耳も慣れてくると音の好みやリクエストもはっきりしてくると思います。しばらく聴きこんでからまたご連絡ください」と清水店長は、限界性能を引き出してフラットな音作りを極めた納車を行い、そのうえで、好みを反映してくれる再調整を約束してくれた。理想の音を求めて買い物地獄にハマっていく物欲オーディオマニアと決別したい自分としては、このサービスはほんとうに嬉しい。

◆圧倒的に変わった高域の再生能力

納車後日が浅く、まだ評価や好みを云々言えるほど聴き込んでいないのだが、一聴して、ひとつだけ言える。中低域の質感や量感に対してリクエストの多い自分だが、新システムの高域再生のレベルの高さは私の過去にはない未体験のものだった。

デジコア+SonicPLUS The CRESTのポテンシャルとSound Parkの技術力、とくに清水店長の耳の良さに舌を巻いている。我が家のホームオーディオで同じ曲を聞くと、デジコアを聞いた後ではモコモコに聞こえてしまう。高域の再生能力は空間表現にこれほどまで影響するのかと今更ながら気がついた。

この高域とバランスする中低域のあるべき姿、自分の好みをもう一度自問自答してみたい気分に駆られている。その答えの先、再調整インストール後にハイエンドシステムが完成するはずだ。そのうえで楽曲試聴によるインプレッションを、満を持してお届けしたい。

《三浦和也》

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