世界初となる横置き9速ATの量産を2013年に開始し、アジア向けにより小型の9速ATの開発も進行中だというZFグループ。トランスミッションの多段化というトレンドの先端を走るサプライヤーでもあるが、そのCEOであるゾンマー博士は、「ギヤ段をこれ以上増やすのは意味がないと思います」と言う。
東京で開催されたZFフリードリヒスハーフェンの「メディアラウンドテーブル」においてのコメントだ。
「なぜなら、ギヤ段を増やすということは、それだけ重量が増しますし、摩擦も発生します。それは良い方向ではありません。我々は、どちらかといえば、電化の道を選びたい。つまりギヤの数を減らす方向に動こうと思っています」とゾンマー博士。
トランスミッションの電化とは、電気モーターを組み合わせたハイブリッド・システムを指す。また、ZFグループとしては、FFエンジン車のリアのアクセルに小型モーターを追加する簡易なハイブリッド・システムの提案も行っている。電気モーターにアシストさせることでエンジンの負担を減らし、トランスミッションの段数減少も可能となるのだ。
「もしかすると4速になるかもしれません(笑)。もちろん、それは電化された4速ですね」とのジョークも飛ぶほどの自信をのぞかせる。
燃費向上の要求は、世界中でますます進む。その達成のためにトランスミッションの多段化は進んできたが、そろそろ限界が見え、今後のさらなる燃費向上は、トランスミッション単体ではなく、エンジン技術やモーター駆動との組み合わせが必須になるのだろう。