【タイ】タイ政府はバンコク全域と隣接するノンタブリ県、スワンナプーム空港があるサムットプラカン県バンプリ郡、パトゥムタニ県ラードルムケーウ郡に発令した非常事態宣言を19日から解除する。18日の閣議で決めた。
非常事態宣言は5人以上の集会禁止、報道統制などを合法化するもので、1月13日に反政府デモ隊がバンコクの主要交差点を占拠したことを受け、同22日に発令された。しかし、国軍がデモ隊の強制排除に反対する姿勢を明確にしたため実効性はなく、2月には、デモ隊側の訴えを受けた民事裁判所が非常事態宣言による強制排除や集会禁止などを禁じる命令を出し、有名無実となっていた。3月2日にはデモ隊がバンコク都内のルムピニ公園に撤退し、観光業界などから、非常事態宣言の解除を求める声が強まっていた。
デモ隊の撤収後、バンコクの日常生活はほぼ通常通りに戻ったが、ルムピニ公園や司法機関の周辺では発砲や爆弾騒ぎが続発している。こうした状況に対応するため、政府は19日から、軍・警察主体の国内安全保障司令部(ISOC)に▽関係政府機関の動員▽特定の建物、地域への進入禁止▽外出禁止▽集会禁止▽移動禁止――などの権限を与える国内安全保障法を、バンコク都とノンタブリ県の全域、サムットプラカン県バンプリ郡、パトゥムタニ県ラードルムケーウ郡に発令する。期間は4月30日まで。