【三菱 eKスペース カスタムT 試乗】上級感あるドライブフィールと際立つ扱いやすさ…青山尚暉

自動車 ニューモデル 新型車
三菱・eKスペース 300kmロングドライブ
三菱・eKスペース 300kmロングドライブ 全 20 枚 拡大写真

三菱『eKスペース』にはいわゆるエアロ系の「カスタム」が用意され、標準車にないターボモデルが選択できる。

運転席に着座すれば、ミニバン的に高めで爽快(そうかい)な視界が気持ちいい。

ちょっと気になるのは(標準車も同様)、ダブルAピラーの存在で右側の視界がけっこう制限されていることと、インパネ上面の樹脂シボが細かくプラスチッキーに感じられる点、そして運転席回りのポケッテリアが意外に少ないことだが…。

インテリアカラーは標準車のブラック&アイボリーに対して精悍(せいかん)なブラック一色になるのはお約束。もちろん、標準車同様、前席、後席ともにシートサイズ、居住空間ともにゆったり。特に後席のゆとりは大型セダンをしのぐほど。視界を含めほとんどミニバンの2列目席のようだ。

カスタムのみに設定される、15インチタイヤを履くターボモデルは残念ながらアイドリングストップを完備せず、JC08モード燃費は22.2km/リットル(FF)にとどまるが、その走りは同ターボエンジンを積む『eKワゴン』より約80kgも重いにもかかわらず、動力性能はかなり活発。トルキーでターボラグとは無縁。もっとずっと大きい排気量のNAエンジンを思わせる自然な回転フィール、加速感、エンジンを回したときの音質が好ましい。

高速走行でも余裕の走りを見せ、静粛性も標準車より一枚上手。これなら4人乗車でロングドライブを試みてもドライバーの動力性能にかかわるストレスは最小限。

パワステの操舵(そうだ)フィールは14インチタイヤを履くNAモデルとは別もの。ターボモデルのほうが終始軽く、すっきりしている。これはeKワゴン同様だ。標準車とターボモデルの足回りの設定に大きな違いはないから、そう感じさせるのはタイヤの特性によるものと考えられる。

乗り心地は14インチタイヤ装着車よりやや硬めにはなるものの、段差越えなどでも角が丸められた快適なタッチを示し、しっとり重厚。このクラスのターボモデルとしてはマイルド方向にしつけられているのが見識だ。

eKワゴンとは違い、フロントスタビライザーを標準化(eKワゴンはオプション)しているのも特徴で、街中の右左折から山道、高速レーンチェンジ時の安定感はクラストップレベル。トルクがあるぶん、勢いよく曲がればロールはそれなりにあるものの、足回りのセッティングの妙でドライバーの感覚的姿勢変化は最小限。でしゃばらない車両安定装置=ASCもまた標準で、つづら折りの山道でステアリングを忙しく右へ左へ切り返すようなシーンでも安定感は損なわれにくく、意外なほどの低重心感覚(重心高はeKワゴン600mm/eKスペース640mm)があり、安定感の高さ、走りやすさ、走りの質感を実感できる。

ただし、eKワゴンのカスタムターボも同様だが、アクセルを深く踏み込んだ後、アクセルを急激に戻すと一瞬、駆動系がギクシャクするクセがあるのが惜しい。これはNAモデルでは出ない現象であり、改善を望みたい点である(ゆったりしたアクセルワークを心がければ気にならない)。

eKスペース カスタムターボはかつてミニバンに乗っていた、今では3列目席不要とはいえミニバン的な大空間は譲れない…そんな人にも薦められるモアスペースの軽自動車。リヤサーキュレーターやスライドドア部分のサンシェードなどの装備、両手に荷物を持っていてもワンタッチでスライドドアを開閉できる機能もあり、大型犬などペットとドライブする機会が多い愛犬家にもぴったりである。

ちなみに後席足元のフラットフロアスペースは後席最後端位置で幅113cm、奥行き40cm。大型犬でもゆったり横になれるスペースがある(クッションは不可欠)。後席を格納すれば、最大フロア奥行きは127・5cmに達し(段差5cmあり)、片側のみ格納すれば乗員のとなりで愛犬をくつろがせることもできる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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