【エールフランス・ユニフォームヒストリー4/6】バレンシアガ、最後の仕事はエールフランス

航空 エンタメ・イベント
バレンシアガデザインのエールフランス制服(1969年)
バレンシアガデザインのエールフランス制服(1969年) 全 3 枚 拡大写真

エールフランスは、1969年新ユニフォームのデザイナーにクリストバル・バレンシアガを指名した。

秋冬用のユニフォームは、ネイビーのツイル製で、ノーカラージャケットは、胸や袖にフラップ付きポケットを配し、機能性を強調。ふくらみのあるタイトスカートはバレンシアガ独特のポケット位置。第二次世界大戦前のCAのユニフォームは、軍服から発展したものだったが、戦争のイメージが遠ざかるに連れ、エレガントな女性の表現に変化していった。ところがバレンシアガは、むしろ軍服を彷彿するマニッシュな雰囲気を醸し出すスーツと帽子、ブーツで颯爽と歩く、知的な女性のスタイルを表現した。春夏は、ペールピンクとペールブルーのダブルブレストの半袖スーツに衣替えした。ベイスボールキャップを思わせる帽子にも、モダニズムを感じさせる。

ココ・シャネルは「彼だけが本当のクチュリエ」とバレンシアガについて語っている。それを裏付けるように、1968年の「五月革命」を期に、プレタポルテへの気運が高まることを知ったバレンシアガは「プレタポルテを手掛けるには、私はあまりにもクチュールを知りすぎている」との言葉を残し、メゾンを閉じたのだ。つまり、1969年に手掛けたエールフランスのユニフォームは、クチュリエとして最後の仕事となったと言えるのだ。

スイヨ氏によると「バレンシアガの起用は、社内では賛否両論でした。プレタポルテによるファッションの民主化が進んでいるときでしたから、時代に逆行するのではないかという意見も多かったのです」。結果的には、70年代へ続く自立した女性のイメージを打ち出す象徴的なスタイルとして、美しいユニフォームの一つになった。

5/6に続く。

《Yuri Yokoi》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. もしも「タイプ992」が初代911をオマージュした世界線だったら…? ウクライナのデザイナーが再解釈
  2. 「鈴鹿8耐」最注目のヤマハ車は完全新作の『YZF-R9』! 150万円を切るなら「ブレイクの予感」しかない
  3. 新世代MINI『クーパー』と『エースマン』に全身ブラックの「モノクローム」登場
  4. アプリリア、“鈴鹿未体験”のオールイタリアンチームで3年ぶりの8耐表彰台
  5. バイクの外観を損ねない!超強力マグネットのスマホホルダー「フリークマウント2.0」に新色5色
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る