NASA 職員とロシア関係者の接触を禁止した通達を認める 議会批判も展開

宇宙 企業動向
2013年9月 来日したNASAのチャールズ・ボールデン長官
2013年9月 来日したNASAのチャールズ・ボールデン長官 全 2 枚 拡大写真

日本時間2014年4月3日朝、NASA アメリカ航空宇宙局は、ロシアとの関係悪化を受けてNASA職員がロシアの政府関係者と接触することを禁止する内部通達について認めた。さらに、Google+に掲載されたメッセージを公開した。

NASA職員とロシア関係者との接触禁止通達は、アメリカの宇宙政策ニュースサイトSpacePolicyOnline.comが報じたもの。4月2日付でNASA エイムズ ピート・ウォーデン所長の名前で送信された電子メールにより、NASA職員とロシア政府関係者を一時停止とし、ロシア訪問、ロシア政府関係者のNASA施設訪問、ロシアと2国間での電子メールや音声・ビデオ会議の開催を禁止している。国際宇宙ステーション(ISS)運用業務については例外とし、また海外で開催され、ロシア関係者も参加する会議への参加は認めている。

3月4日、NASAのチャールズ・ボールデン長官はロシアとの関係は国際宇宙ステーションの運用に影響しない、と述べているが、通達によりそれ以外の点では、ロシアとの関係を制限することが明らかになった。その後、電子メールのリークによる報道を受けた形でNASAはGoogle+のNASAアカウントに掲載したメッセージを公表した。

■ロシア政府の代表者といくつかのNASAの活動の停止に関する声明:

ウクライナの主権と領土保全に対するロシアの進行中の侵害により、米航空宇宙局 NASAはロシア連邦と進めている業務の多くが一時停止となっています。しかしながら、NASAとロシア連邦宇宙庁 Roscosmosは国際宇宙ステーションの安全かつ継続的な運用を維持するために協力していきます。NASAはアメリカ国土から有人宇宙飛行を再び行う計画に集中し、宇宙へ向かうにあたってのロシア依存を終わりにします。これは、オバマ政権の過去5年間の最優先事項であり、来年にはアメリカからの有人宇宙飛行とそれをサポートする仕事を復活させるという計画には完全に資金が供給されていました。議会が承認した資金の減額により、私たちは2017年のアメリカ国土からの打ち上げを目標としています。アメリカに有人宇宙飛行を取り戻す計画の完全な予算承認と、ロシアへ数百万ドルもの送金をし続けるという選択肢があります。簡単なことです。オバマ政権は、アメリカへの投資を選択しました。私たちは、議会が同様の選択をすると期待しています。

メッセージの前半は禁止事項を追認したものだが、後半は2017年の開始を予定している、国際宇宙ステーションへの商業軌道輸送計画(CCDeV)に関する内容となっている。シエラ ネバダ社を始め、NASAから認定された企業がISSへ宇宙飛行士を輸送する計画に関するもので、計画が遅れればロシアのソユーズ宇宙船依存が長引くと懸念されてきた。

3月11日には、引退したNASAのクレイトン・アンダーソン元宇宙飛行士がハフィントン・ポスト誌へ、ウクライナとロシア情勢からの宇宙活動への影響を懸念する内容の記事を寄稿している。アンダーソン宇宙飛行士は、宇宙飛行士が地上の政治に影響された例として、1991年にロシアの宇宙ステーション・ミール滞在中にソビエト連邦崩壊時に滞在後にロシア初のスペースシャトル・ミッションスペシャリストとなったセルゲイ・クリカレフ宇宙飛行士の件を挙げている。「合衆国の商業宇宙企業が一刻も早く宇宙飛行士のために輸送船を用意し、ISSから帰還できるようにする必要がある」とも述べている。さらに、「2大政党のバランスの中で、十分に議論をつくすよりも毎年予算の場で不安定な決議を続けることを楽しんでいるという印象を与えています」とCCDeV計画に対する議会の予算決定への批判を展開している。

今回のNASAメッセージにも同じ論調がうかがえ、アメリカによる有人宇宙輸送計画の推進、予算執行を議会に強く求めている。

《秋山 文野》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る