JR貨物、事業計画と新中期計画を発表…2016年度の黒字化目指す

鉄道 企業動向
大井ふ頭にある東京貨物ターミナル駅。用地の高度利用による開発を推進することが本年度の事業計画と新中期計画に盛り込まれた。
大井ふ頭にある東京貨物ターミナル駅。用地の高度利用による開発を推進することが本年度の事業計画と新中期計画に盛り込まれた。 全 2 枚 拡大写真

JR貨物はこのほど、2014年度の事業計画と新しい中期経営計画(2014~2016年度)を発表した。2016年度の鉄道事業部門の黒字化を目指し、速達化などの各種施策を実施する。

3月27日に発表された事業計画によると、国内経済は消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けるものの、景気の回復局面は続く見通しとし、その一方で長距離トラックドライバー不足の傾向が顕著になるなど「大量輸送という機関特性を持った鉄道が果たすべき役割は、ますます大きくなっている」とした。本年度の輸送量はコンテナ2192万t、車扱871万tで計3063万tを見込む。設備投資は総額219億円とし、輸送設備の維持更新に80億円、経営体質改善に35億円、車両に104億円を投じる。

安全対策では、JR旅客各社の地上設備に対応した連続速度照査機能付き自動列車停止装置(新型ATS)の機関車への搭載を引き続き実施。貨物駅構内でも新型ATSの設置を引き続き進める。また、運転士異常時対応訓練用シミュレーターの導入や鉄枕木の投入、連動装置の取り換え、入替信号機の発光ダイオード(LED)化などを行う。

安定輸送策としては、主な機関区や駅に機関車・コンテナ車の予備車両を配置。さらに新形式車両の投入などにより輸送障害を防止する。また、自然災害による影響が多発していることから、JR貨物を利用する運動事業者などと連携してトラックによる代行輸送の充実化を図るとともに、船舶代行輸送区間を拡大する。

北海道新幹線新青森~新函館間と在来線(津軽海峡線)が線路を共用することになる青函トンネル部の専用機関車として開発された「EH800形」は、引き続き試作車による走行試験を実施。このほか、入替用ハイブリッド機関車「HD300形」の導入拡大やLED照明の導入などによりエネルギー使用量を削減する。関連事業では、東京貨物ターミナル駅(東京都品川区)の用地高度利用に向け開発の具体化を進める。

一方、3月31日に発表された「中期計画2016(新中期計画)」は、2011年2月策定の中期経営計画が大幅な未達となったことについて「目標と施策それぞれが明確になっていなかった」「計画の実行に現場の力が十分に発揮されなかった」と総括。「トップダウン(目標の明確化)とボトムアップ(職場の活性化と各人の自発的な力の発揮)の手法を組み合せ、鉄道事業の黒字化を達成」するものとした。

新中期計画によると、設備投資は3年間で総額810億円。このうち640億円を鉄道事業に投じる。老朽対策(70億円)では連動装置の更新と鉄枕木の交換、土木・電気設備の更新、車両所機械の更新などを実施。安全・防災対策(50億円)では新型ATSの新設と運転状況記録装置の整備、建物や橋りょうの耐震対策などを行う。

業務改善(100億円)では、東京貨物ターミナル駅プロジェクトの推進、架線の増設などによる駅施設の改良、青函トンネル部における共用走行対応設備の整備などを実施する。車両には280億円を投じ、青函共用走行対応機関車を含む機関車の新製とコンテナ車の新製などを行う。

《草町義和》

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