【池原照雄の単眼複眼】挟撃で苦戦したトヨタ…13年度国内シェア

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ダイハツ タント、スズキ スペーシア、ホンダ N BOX
ダイハツ タント、スズキ スペーシア、ホンダ N BOX 全 3 枚 拡大写真

過去最高を大幅更新し4割を占めた軽自動車

2013年度の国内新車販売は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要効果もあり前年度比9.2%増の569万2024台となった。3年連続の増加であり、水準としても06年度(562万台)以来の高レベルとなった。好調だったのは軽自動車と輸入車であり、「実用車」と「海外ブランド品」という対照的なセグメントが人気を得た。

総需要のうち、登録車は6%増の343万台余り、軽自動車は15%増の226万台余りだった。軽は従来の最高だった06年度(203万台)の記録を大幅に更新した。総需要に占める軽の比率は39.7%となり、12年度(37.9%)から1.8ポイント拡大して4割水準となった。11年以降、ホンダの商品テコ入れや日産自動車と三菱自動車工業による協業といった各社の事業強化策が市場を活性化させている。燃費性能や安全装備の充実など、技術開発競争の加速も底辺拡大をもたらしている。

輸入車シェアも最高の5%に乗せる

一方で、経済的な軽自動車とは対極に位置する輸入車も快走を続けている。日本自動車輸入組合のまとめによると、13年度の外国メーカー車の新車販売は前年度を23%上回る30万台余りとなった。台数は過去最高ではないものの、30万台を超えたのは日本メーカーも「輸入促進」で海外メーカーに協力していた96年度以来。13年度の総需要に占めるシェアは5.3%と前年度に続いて最高を更新した。

輸入車最大手のVW(フォルクスワーゲン)によるコンパクトカーの品揃えの充実、さらにメルセデスベンツといった高級車でもエントリカーは300万円を切る価格を打ちだしたことなどで、一段と身近な存在となってきた。親しみやすい店作りなど質・量両面からの販売ネットワーク強化策も販売増につながっている。

販売業界団体のデータを基に、13年度の日本の乗用車8社や輸入車の販売実績とシェアの状況を以下の表にまとめた。全社が12年度比でプラスの販売となったが、市場の伸びを上回って同年度よりシェアも拡大したのは日本メーカーではホンダ、日産、マツダ、富士重工業(スバル)の4社だった。ホンダは軽の好調に加え、登録車の主力モデルである『フィット』の全面改良などにより、一気に1.1ポイントもシェアを伸ばした。逆にトヨタ自動車(レクサス含む)など4社が前年度から落とした。

◎2013年度の国内販売とシェア
企 業 販売台数(伸び率)  シェア(12年度シェア)
トヨタ  164.7万台(2.3%) 28.9%(30.9%)
ホンダ  84.8万台(18.4%) 14.9%(13.8%)
スズキ  72.8万台(8.4%)  12.8%(12.9%)
日産    71.9万台(11.1%) 12.6%(12.4%)
ダイハツ 70.1万台(7.0%)  12.3%(12.6%)
マツダ   24.3万台(12.6%) 4.3%(4.2%)
富士重工 18.7万台(10.4%) 3.3%(3.2%)
三菱自工 14.3万台( 6.9%) 2.5%(2.6%)
輸入車計 30.2万台(22.9%) 5.3%(4.7%)
VW    7.2万台(25.2%) 1.3%(1.1%)
ベンツ  5.9万台(39.5%) 1.1%(0.8%)
※トヨタはレクサス含む。輸入車計は外国メーカー分の集計でVW、ベンツはその内数。

HVのみに頼らない魅力の創出を

トヨタは12年以降、商品強化策を進めてきたレクサスが13%増の4万9000台余りと、3年ぶりに過去最高を更新したものの、トヨタブランドの伸びが2%にとどまった。シェアは28.9%と、東日本大震災による減産が影響した11年度以来の30%割れとなった。個々のモデルでは『アクア』と『プリウス』が車名別ランクで1、2位となるなどハイブリッド車(HV)を中心に健闘している。

だが、市場が拡大した軽の販売が年4万台余りと小さいこともあってシェアの後退をもたらした。また、輸入車の勢力が増したことで、もともと販売基盤の大きなトヨタが侵食される構図となっており、軽と輸入車の“挟撃”を受けている状況だ。現在、開発を加速させている先進的な安全技術などHVのみに頼らない魅力の創出が急務といえよう。

注目すべきは販売数量の少ないマツダと富士重工の手堅い実績だ。両社とも0.1ポイントだが、シェアを伸ばした。エンジンや安全の独自技術で根強いファンを獲得している富士重工に加え、マツダも「SKYACTIV」技術の広がりによる販売増の成果が着実だ。この2ブランドの価格設定は、決して安くはない。それでも、支持を得ているのは、輸入車人気と通じる消費マインドの「微妙な変化」を映しているように見える。

《池原照雄》

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