ダイハツ コペン 新型、3割のMTユーザーに対応するための工夫とは

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カモフラージュに身をまとった新型コペン。このデザインはは6月の正式発表でわかる(上田氏)という
カモフラージュに身をまとった新型コペン。このデザインはは6月の正式発表でわかる(上田氏)という 全 10 枚 拡大写真

2012年8月に生産終了となって以来、復活が望まれていたダイハツ『コペン』が2014年6月に発売されることが決定した。それに先立ち、4月にプロトタイプの試乗会を開催、新型コペンに採用する新技術を明らかにした。ダイハツ工業 執行役員の上田亨氏と、開発責任者の藤下修氏が説明した。

4気筒から3気筒へ、CVTは免税に

まずエンジン。サイズは軽自動車枠内に収まる660ccカテゴリーであるが、初代コペンの4気筒から3気筒エンジンとなる。タントで採用する直列3気筒DOHC DVVT(連続可変バルブタイミング機構)ターボエンジン「KF-VET」を用い、最高出力は47kW(64PS)/6400rpm、最大トルクは92Nm(9.4kgm)/3200rpmを発揮。これにミッションが7速スーパーアクティブシフト付きCVTあるいは5速MTが選べる。燃費は「社内測定値でCVT車が25.2km/リットル、5速MT車が22.2km/リットルとされ、CVT車は100%免税、5MT車で50%免税になる可能性が高い」(藤下氏)という。

ここで疑問が湧くのは5MTのミッション。今や軽乗用車にMTを搭載するのは一部の車両に限られ、新たに準備する必要がある。ならば、5MTミッションはコペン用に新開発したのか、とも思ってしまう。この疑問に対し上田氏は、「実はインドネシアの優遇税制LCGC(Low Cost Green Car)対応の『アイラ』に搭載の5MTを流用した」とその背景を語る。上田氏によれば、初代コペンでは全体の3割がMTを選んだそうで、スポーツ車としてMTは欠かせないものの、開発コストは抑えなくてはならない。その狭間での選択だったようだ。

◆曲げ剛性3倍、ねじり剛性1.5倍

ボディは、ミライースのボディをベースに補強を加えた「Dフレーム(D-Frame)」と呼ばれる新骨格構造を採用する。これは、フロント/サイド/リア/フロアの車両全体を一体化し、その上でフロア下のトンネル部やクロスメンバーを追加することで、「初代コペン比で、上下曲げ剛性で3倍、ねじり剛性で1.5倍もの高いボディ剛性を実現できた(藤下氏)」という。車両開発にあたって近年は短期開発のためにCADを使う例が大半だが、「コペンに関しては開発段階で一つひとつを“切って貼る”を繰り返す従来のやり方を実践することで満足いく剛性を実現できた(上田氏)」のだという。

注目の外板の着脱(着せ替え)構造は「DRESSFORMATION(ドレスフォーメーション)」と名付けられた。ドアとルーフ以外の外板をすべてボルト締め付けによる交換が可能で、その範囲はフロントフード、ラゲッジ、フロント/リアバンパー、前後左右フェンダー、左右ロッカーパネル、フューエルリッドの11部品にも及ぶ。上田氏によれば材質は成形しやすくリサイクルが可能なPP(ポリプロピレン)材質とし、交換用パーツはサードパーティや、一般公募による積極参加を呼びかけていく予定だという。しかも、交換可能なパーツはダッシュボードパネルなど内装部品に対しても行うというから驚く。世界に1台しかなないカスタムメイドのコペンが街の中を走る日も近い。

なお、昨年の東京モーターショーでは「KOPEN]となっていたが、これはコンセプトモデルでの習慣に倣ったためで、正式名称は「COPEN」となる。

《会田肇》

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