スズキ 12Vのマイルドハイブリッドと、欧州勢の48Vの関係

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スズキ 12Vのマイルドハイブリッドと、欧州勢の48Vの関係
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4月16日、スズキは「四輪技術説明会」を開催した。そこでは、スズキの「基本となる商品開発方針」(トップクラスの環境性能/お求めやすい価格/安心と喜びのあるクルマ)や「今後の環境技術の取り組み」(軽量化プラットフォーム/エンジン高効率化/トランスミッションの取り組み/電動化の取り組み)が説明された。

そこで注目なのが、スズキの「電動化」への取り組みだ。具体的には、「エンジンの熱効率徹底向上」を土台に、「アイドリングストップ」「エネルギー回生(エネチャージ)」を積み重ねていこうというもの。今後は、近い未来に「マイルドハイブリッド」を実用化し、その先にトランスミッション内にモーターを組み入れた「ストロングハイブリッド」、そして「プラグインハイブリッド」や「電気自動車」「燃料電池車」を目指すという。

そして、現在、スズキは「マイルドハイブリッド」を開発中だという。

そのスズキが開発中の「マイルドハイブリッド」が「ISG(Integrated Starter Generator)」である。簡単に言えば、エンジンの始動/発電に使うスターター/オルタネーターを高出力化して、加速時のアシストや減速時のエネルギー回生にも利用するものだ。スターター/オルタネーターの出力は2kW未満だという。これは、日産セレナですでに採用されている「S HYBRID」と同じアイデアと言っていいだろう。また、欧州サプライヤーは同じアイデアでありながら、電圧を48Vまでに昇圧して使う「48V」という技術を提案している。

スズキの技術で、特徴的なのは、「従来からあるエネチャージのリチウムイオン電池をそのまま使う」「システムは12Vで作動させる」であることだ。

ここで注目なのは、スズキが、あえて12Vでマイルドハイブリッドに取り組んでいることだ。これをスズキの四輪電動車設計部長である高柴久則氏にたずねてみれば、「12Vはエネチャージの電圧でやっているだけ。48Vシステムは、ISGの技術の延長線上にあると考えている」という。

つまり、欧州の48Vを拒否するわけではないのだ。ちなみに、スズキが、マイルドハイブリッドのISGをすぐに量産車に採用できないのは、技術的というよりもコスト高が理由だという。逆に言えば、コストが下がれば、12Vシステムどころか、欧州勢の提案する48Vも十分に選択肢のひとつになる。もちろん48Vによるシステムの方が12Vよりも燃費向上の効果は期待できる。

そして欧州勢のマイルドハイブリッドである48Vの量産車が市場に投入されるのは、2016年ごろだと言われている。そこで48Vの採用車が多ければ、当然のようにコストは下がる。コストが下がれば、スズキも採用しやすくなる。さらに、低コストによるハイブリッド化が可能であれば、日本市場だけでなく、アジア市場に投入するモデルにも展開が可能となるだろう。

どのようなタイミングでスズキがISGによるマイルドハイブリッドを量産車に採用するのかは、まだ見えない。しかし、欧州勢が48Vの量産車で販売攻勢をかけるころは、スズキのマイルドハイブリッド化は達成されているはず。その未来は、すぐそこまで来ていることは間違いないだろう。

《鈴木ケンイチ》

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