日本郵船は、自動車専用船による輸送で、カルテルを結んでいたとして公正取引委員会から排除措置命令と課徴金納付命令を受けていたことについて、審判の請求を行わず、命令に従うことを決めたと発表した。
同社は、北米航路、欧州航路、中近東航路、大洋州航路で特定自動車運送業務に関し、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為があったとして、3月18日に公正取引委員会から排除措置命令、課徴金納付命令を受けた。
これを受けて同社は、内容を精査して検討してきたところ、「事実認定と法解釈において公正取引委員会との間で見解の相違があり、主張が受け入れられなかったことは誠に遺憾」としている。ただ、長期的な企業価値の維持・保全を重視して総合的に勘案した結果、各命令に係る審判の請求を行わないことを決めたとしている。
2014年3月期第3四半期連結決算で、独禁法関連引当金繰入額135億円を特別損失に計上しており、業績見通しには影響しないとしている。
同社は今後、排除措置命令の実施を含め、全社的な独禁法コンプライアンス強化に徹底的に取り組むとともに、企業としての信頼回復に全力を注ぐとしている。
また、今回の事件の重大性を重く受け止め、会長、社長と自動車船部門担当の代表取締役の役員報酬を今年5月から1年間50%減額し、同部門担当の経営委員の報酬を5月から6カ月間30%減額する。