大観衆前に走る歓びを…ヴィッツレース支えるサポート力とは

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堤重之さん(中央)とネッツ静浜のサポートチーム
堤重之さん(中央)とネッツ静浜のサポートチーム 全 20 枚 拡大写真

5月3日・4日の2日間、富士スピードウェイで開幕戦が行われた「GR ネッツカップ ヴィッツレース 2014」。ナンバー付きのトヨタ『ヴィッツRSレーシング』と国内A級ライセンスがあれば誰でも参加できるワンメイクレースとあって、参加者には一般の職を持つ人も多い。

◆本業は公務員でも大観衆の前でレースに参加

「去年、SUPER GTと一緒に開催されたヴィッツレースを見て、大観衆を前にレースできたらいいなと思っていました」と語るのは、No.46のマシンで走る澁澤伸夫さん。ヴィッツレースには2013年シーズンの途中から参戦し、今年は2年目。4日のSUPER GT決勝日に開催された関東シリーズ第1戦では、念願であった大勢の観客を前にして行われる決勝レースへ出場、39位で完走を果たした。

澁澤さんは市役所に勤める公務員。車両やレーシングスーツなどの購入費用に加えサーキットで走る練習費用など、レースに参加する負担は少なくないはずだ。レースを始めるのに敷居が高いと感じたことはないのだろうか。

費用面について、澁澤さんは「ヴィッツレースを始める前まで『インプレッサ STI』に乗っていたのですが、STIの新車に買い替えると考えれば、スーツや練習費用を含めても同じだと思って、楽しんでやっています」と話し、加えて「レース車両は6年のローンを抱えていますので、車は絶対に壊すことはできません。“無事これ名馬”という感じで、細く長くやっていきたいと思っています」と目標を語った。

様々あるレースカテゴリーの中でヴィッツレースを選んだことに関しては、「A級ライセンスとレース車両があれば参加できることと、ワンメイクレースというイコールコンディションやディーラーによるサポート体制も受けられるという安心感が大きいですね」と語る。

それまでにレース経験のない澁澤さんの参加を後押ししたのは、ディーラーでのサポート体制だったという。

澁澤さんは「まず、私の住む埼玉県内で、ヴィッツレースのサポート体制があるネッツトヨタ東埼玉に電話してみたところ、今日も面倒を見てもらっている有馬さんに対応していただきました」と、ネッツトヨタ東埼玉のエンジニアリーダー有馬康介さんの名前を挙げた。「レース経験もなく参加できるのか不安でしたが、“やる気があればどうにかなる”ということで、有馬さんからいろいろとアドバイスをもらい、今でも親切にしてもらっています」という。

◆レース参加の敷居を下げるディーラーのサポート体制

この有馬さん、ヴィッツレースの参加者が集まるテント村ではちょっとした有名人であった。同じくレースにエントリーしている飯田滋さん、飯田裕さん兄弟が作る“アニーチーム”も、彼を頼りにするチームのひとつだ。チーム代表である兄の飯田滋さんは「レース会場に行けば、有馬さんはディーラーの垣根を越えて助けてくれるので、普段も自然と有馬さんのいるところで車の面倒を見てもらうようになりました」と話す。

ディーラーによるサポート体制とは、熱意のあるディーラーメカニックの参加によるものが大きいようだ。

「ちょっとしたトラブルでヴィッツレースが嫌になってしまうのはもったいないと思って、サポート活動には力を入れています」と有馬さん。ネッツトヨタ東埼玉では、「“出来るところはなるべく自分でやって費用を抑えたい”といったお客様も多いので、普段のメンテナンスや走行前点検はお店に来ていただいて、レースでなにかあった時のために、我々メカニックが現地でサポートするかたちをとっています」という。

有馬さんのサポートを受けるアニーチームの飯田滋さんは「ディーラーのチームから参加したこともありましたが、昨年から個人のチームを作って仲間とワイワイしながら参加しています。一生懸命やって、ダメならダメで笑って済まそうと楽しんでいます」と、チームのスタンスを話した。No.36のマシンで出場した弟の裕さんも「今年はチームでお揃いのウェアを作りました。予選と決勝で色違いのものを用意しています」と笑顔で語る。

◆ワンメイクレースは参加者とサポート側の熱意が鍵

ヴィッツレースは、全国30のネッツ店でサポート体制を敷いている。その中でも参加者とディーラーが一緒になってチームを作り上げたのがネッツトヨタ静浜だ。ヴィッツレースの参加者である堤重之さん(No.21)の働きかけで、レースサポートを始めることになった。

ネッツトヨタ静浜サービス営業部の津島守さんは「ヴィッツレースとの関わりは堤さんとの出会いがきっかけです。モータースポーツのことは彼に教わりながら一緒にやっていきましょうということで活動を続けていて、毎年、新人エンジニアの研修の場にもなっています」と話す。

堤さんは「レースの様子を録画してDVDで共有したり、参加メンバーそれぞれで違うセッティングを試したりと、チームだからできることは多い。一人で参戦するのとは全然違います」と語る。また、「これから参戦を考えている人も、本当にやりたいという情熱があれば、楽しんで続けていると思います」と話した。

「ネッツカップ」の冠で2000年からスタートしたヴィッツレースは、2014年で15年目のシーズンに入る。国内では数少ないワンメイクレースを長年継続して開催できるのは、人と人の結びつき、参加者達の“やる気”、それを支える柔軟なサポート体制にあるようだ。

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