【人とくるまのテクノロジー14】トヨタ、HV向け新開発パワー半導体を展示

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シリコンパワー半導体採用PCU(現行品・左)とSiCパワー半導体採用PCU(目標サイズ)
シリコンパワー半導体採用PCU(現行品・左)とSiCパワー半導体採用PCU(目標サイズ) 全 2 枚 拡大写真

トヨタ自動車は5月21日から23日までの3日間、パシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2014」にデンソー、豊田中央研究所と共同で開発した、新しい素材であるSiCによるパワー半導体を出展すると発表した。

このSiCパワー半導体は、ハイブリッド車(HV)などのモーター駆動力を制御するパワーコントロールユニット(PCU)に採用する予定で、今後1年以内に公道での走行実験を開始。将来的には、現在のシリコンパワー半導体と比べ、HVの燃費は10%の大幅向上、PCUは1/5の小型化を目指す。

PCUは、走行時にはバッテリーの電力をモーターに供給することで車速を制御するとともに、減速時には回生した電力をバッテリーに充電するなど、HVなどの電力利用において重要な役割を担っている。一方で、PCUは、HVの電力損失の約1/4を占めているが、HVの車両全体の電力損失の約20%は、パワー半導体によるものだ。従って、パワー半導体の高効率化は、燃費向上のキーテクノロジーのひとつで、トヨタは、1997年の初代プリウス発売時よりパワー半導体の自社開発に取り組み、HVの燃費向上に努めてきた。

SiCは、シリコンよりも高効率化が可能な半導体材料で、トヨタグループでは、1980年代から豊田中研、デンソーが基礎研究を始め、2007年からはトヨタも参加し実用化に向けた技術開発を共同で進めてきた。トヨタは、今回3社で共同開発したSiCパワー半導体(ダイオードとトランジスタ)を採用したPCUをHVの試作車に搭載し、テストコースで行った走行実験において、5%を超える燃費向上を確認した。

また、2013年12月には広瀬工場内に、SiC専用の半導体開発のためのクリーンルームを整備。今後、さらに高効率化を進め、将来的には10%の大幅な燃費向上を目指す。また、SiCパワー半導体にはスイッチングの損失が小さいという特徴があり、高周波化しても効率的に電流を流すことができる。この性能を十分に引き出すことにより、PCUの体積の約40%を占めるコイル、コンデンサの小型化が可能となり、将来的にPCUの体積は、現行型比1/5を目指す。

《纐纈敏也@DAYS》

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