【フォード エコスポーツ 試乗】 SUVを強く意識させるデザインで勝負…中村孝仁

試乗記 輸入車
フォード・エコスポーツ
フォード・エコスポーツ 全 20 枚 拡大写真

今年に入ってホンダ『ヴェゼル』、ルノー『キャプチャー』、プジョー『2008』と、いわゆるコンパクトSUVが目白押し。フォード『エコスポーツ』も、それらをライバルとするコンパクト・クロスオーバーだ。

【画像全20枚】

そもそも、クロスオーバーというジャンルの定義づけがそれほどしっかりとしたものではない気がするが、要は乗用車用のプラットフォームを使ってSUV風に仕立てたモデルをこう呼ぶケースが多い。そんな中でもコンパクトクラスのクロスオーバーはやはり燃費の問題からか、SUVを意識させるデザインが少ない。ところが、フォードは自らSUVというジャンルに強みを持っているせいか、コンパクトクラスにおいてもSUVを強く意識させるデザインで市場投入してきた。ヨーロッパの直接的ライバルであるルノー キャプチャーが、パーソナルクロスオーバー的、そしてプジョー2008はファミリークロスオーバー的なのに対し(あくまでもデザインを主観的に見ての話)、フォード エコスポーツはまさにSUV風味たっぷりのクロスオーバーである。

特に意識させるのがクロカン四駆的なデザインで、テールゲートにスペアタイヤを装備するあたり。とはいえこのクルマ、四駆の設定はなく、FWDのみだ。ベースは乗用車用プラットフォームと前述したが、このクルマの場合コンパクトハッチバックモデル、『フィエスタ』のものを用いている。フィエスタは日本市場でも非常に好調な売れ行きを示しているという話だが、ならばエンジンは同じ3気筒のエコブーストエンジンかというと、そうではなく、1.5リットルの4気筒で、今のところエコスポーツ専用エンジンとなっている。生産拠点はインド。一クラス上の『クーガ』がタイ製だから、これもそうかと思いきや、そうではない。因みに日本ばかりでなく、ヨーロッパへもインドから輸出されるのだという。

この1.5リットル直4ユニット。ターボでもなければ直噴でもない。極く当たり前の自然吸気4気筒で、正直言えばエンジン単体での訴求ポイントはないし、革新的な技術もない。ただ黒子としては走ってみるとなかなかいい仕事をする。決してパワフルでもないし、ドラマチックさもない。それに静粛性とかドライバビリティーに秀でているかといえば、そんなこともない。でも踏めば踏んだなりにパワーを提供してくれるし、日常的には十分なパワーを持っていて、ずいぶんと健気な感じがした。

トランスミッションは6速のパワーシフト。いわゆるデュアルクラッチを持つ電子制御マニュアルだ。ATモードでも非常につながり感が良くてスムーズだから、通常のATとほとんど違いを感じない。マニュアルモードはレバー横に付くサムスイッチで行うのだが、残念ながらあまり使用感はよくない。今のところフォードはこのシステムを是としているようだが、要はシフトを左右に倒して、前後に動かす手間が省けるだけで、ユーザーにそれほど大きなメリットがあるわけではないと思う。時速100キロで6速に入れた場合、エンジン回転は2500rpm。最大トルクは4400rpmで発揮されるからこの領域では余力たっぷりである。

機能性という面ではラゲッジスペースもライバルとは差別化できる方式を取っている。リアシートこそ6:4分割可倒式でこれは同じ。ただし背もたれがリクライニングするのが特徴。しかし、背もたれを倒してもフラットな床面を構築することはできない。その代わり、さらにそこから座面ごと起せる、ダブルフォールディング式を採用するのがエコスポーツの特徴で、こうすることで背の高いものを収容するスペースが生まれる。つまり床面が低いのだ。カタログではなんと洗濯機を搭載した写真が掲載されている。まさかここまではやらないかもしれないが、それだけのスペースがあることをデモンストレーションしているわけだ。12Vの電源もドライバーズシートの間と、リアシート右横に装備されて便利そう。気になるお値段は、ライバル2台、即ちルノーやプジョーよりも安い246万円。ただし、ワングレードのみの設定だ。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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