ターボチャージャー技術で知られるHKSは「人とくるまのテクノロジー展」に出展。CNG走行する業務車両にガソリンでも走行できる仕様へ変更する技術や、大型トラックのディーゼルエンジンを天然ガス(CNG)仕様に変える技術など、主として環境技術を中心とした展示を行った。
天然ガス自動車(NGV:Natural Gas Vehicle)は、CO2排出量がガソリン車やディーゼル車より少ないことから地球温暖化防止に役立つ一方で、ガソリンスタンド約4万か所の1%にも満たないステーションの少なさが弱点となる。そこで、これまでは主として走行範囲が限定される近郊輸送車両で多く使われてきた。しかし、災害発生時を含め、いざという時はCNGの供給に支障が生じることも考えられる。そこで、通常はCNGで走行し、必要な時はワンタッチでガソリンを燃料とすることもできるのがHKSの「バイフューエル技術」だ。
HKSが提供するのは市販のガソリン車を解像するコンバージョンキットで、既存車両の性能を損なうことなく手軽にNGVへと変換することができるのが特徴。なかでも注目なのは、CNG/ガソリンを走行中、任意に切り換えられることだ。基本はガソリン車であるため、レギュレターによってCNGを減圧してやる必要はあるが、高精度なガスインジェクターにより燃費やエミッション、出力面ですぐれた能力を発揮できるという。
とはいえ、NGVとなることでガソリン使用時と比較してパワーダウンは避けられない。そこで、オプションとしてスパーチャージャーの組み合わせも可能にしているのだという。
CNG利用はディーゼルエンジンを使う大型トラックにも活かされる。HKSは、市販大型トラックのディーゼルエンジンを基本に、エンジン内部・燃料系統・排気系統・補機類等を改造してCNG化する技術を開発。専用ターボチャージャーとの組み合わせにより、エンジン出力はディーゼルエンジンと同等とし、しかも約500kmに長距離走行にも対応できる高い実用性を発揮する。これは、近郊輸送を主体としていたCNG車の概念を変える画期的システムとして注目の技術と言えるだろう。
CNG化にはヘッドカバーやインテークマニホールド、インジェクター等をCNG用として交換し、ターボチャージャーもCNG用に交換する。HKSではこのエンジンの組み立てラインを用意し、海外でのCNG用エンジンの受容に合わせた対応を図っている。
HKSといえばスポーツ走行向けのターボチャージャーを開発するメーカーとしての印象が強い。環境技術が避けられない時代へと変化してきた中で、着実な進化を遂げてきた同社の今後が楽しみである。