【WWDC 14】アップル「CarPlay」の実機デモンストレーション

自動車 テクノロジー Apple
アップル「CarPlay」の実機デモンストレーション(WWDC 2014)
アップル「CarPlay」の実機デモンストレーション(WWDC 2014) 全 13 枚 拡大写真

6月2日(現地時間)、アメリカ サンフランシスコにて「Apple World Wide Developpers Conference(WWDC) 2014」が開催された。本誌既報のとおり、今回のWWDC 2014のキーノートでアップルは、OS Xの新バージョンとなる「ヨセミテ」と、iOSの新バージョン「iOS 8」を発表。さらにiCloudの新機能や開発者向けの新たなプログラミング言語「Swift」を披露するなど、開発者会議らしい内容の濃いプレゼンテーションが行われた。

デモンストレーション動画

その一方で、今回のキーノートで触れられなかったものがある。アップルが自動車向けに取り組んでいる「CarPlay」だ。これは今年3月にジュネーブショーで発表されており、今回、アップルの“お膝元”で多くの開発者が集まるWWDC 2014のキーノートでも何らかの言及があるのではないかと注目されていた。だが、蓋を開けてみれば、昨年のWWDCと異なりキーノートでCarPlayについて触れられることはなく、アップルの公式中継を見ていた自動車業界関係者の中には落胆した人もいたのではないだろうか。

しかし、アップルが今回のWWDC 2014において、CarPlayについて「ノータッチ」だったかといえば、それはNO。むしろ逆である。実はキーノート会場の階下には3台のクルマが用意されており、世界各国のメディア関係者や多くのソフトウェア開発者に対して、CarPlayのアピールが積極的に行われていたのだ。

その中でも、ひときわ目を引いたのが、フェラーリ社の『FF』に搭載されたCarPlay対応車載器のデモンストレーション。ここではフェラーリFFの純正車載端末とiPhoneを接続し、ナビゲーションやオーディオ連携、それらをSiriで音声コントロールするデモンストレーションが行われた。

例えば、ナビゲーションでは、Siriであいまいなキーワードから目的地検索を行ったほか、iPhoneに届いたメールやFacebookメッセージなどに記載されている住所を自動的に認識して目的地を検索・ナビゲーションをするデモンストレーションを実施。一連の動作がスムーズに連携する様子は、アップルならではと言える。今のところ日本では対応していないプローブ渋滞情報もアメリカ版では利用できるため、“通信ナビ”としてのクオリティもかなり高い。

CarPlayではほかにも、聞きたい音楽の選曲や各種オーディオ機能の制御、メッセージの読み上げや返信の作成、電話の発着信などの操作すべてがSiriから行える。Siriでの動作をひとつひとつ見たが、CarPlay(iPhone)側の認識精度はすこぶる高く実用的だった。もともと英語版Siriの音声認識精度は日本語版より高いということもあり、「アメリカのカーナビは、Siriでの操作が一気に普及するのでは?」と感じたのは偽らざるところだ。

他方で、CarPlayのUIデザインや機能は、かなりシンプルなもの。ひとつひとつの動きはスムーズだが、その内容はディスプレイオーディオカーナビの域を出ていないのも確かだ。そのあたりはフェラーリ側も認識しており、フェラーリFFの車載器ではCarPlayモードとは別に、フェラーリ使用の純正カーナビ/オーディオのモードも用意されている。

また、iOSを使うなら豊富なアプリの登場にも期待したいところだが、今のところアップルはCarPlay向けアプリにかなり厳格なスタンスを取っており、音楽関係や音声読み上げで使えるレベルのアプリしか追加を認めていない。アップルからすると自動車向けサービスの展開に対して、まずは安全性に最大限の配慮をしているようだ。

CarPlayはすでに多くの自動車メーカーが参加を表明しており、早ければ2014年度中には日本でも使えるようになる模様だ。交通環境の複雑な日本では、CarPlayナビゲーションの渋滞情報対応は必須であろうし、できることならサードパーティ製のナビアプリも利用したいところ。一方で、Siriの進化はめざましいため、これがクルマで使えるメリットはかなり期待できる。

CarPlayが今後自動車業界を揺るがす存在になるかどうか。今年から来年にかけて注目と言えそうだ。



《神尾寿》

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