【ボルボ S60/V60 特別仕様】50万円の装備追加でベース車より安い「超・お買い得車」を販売するワケ

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ボルボ V60 ラグジュアリー・エディション
ボルボ V60 ラグジュアリー・エディション 全 13 枚 拡大写真

ボルボ・カー・ジャパンが発売した主力モデル『S60』と『V60』の特別仕様車「ラグジュアリー・エディション(LE)」は、ただ装備の追加や特別色を採用したいわゆる「普通の特別仕様車」ではない。歩行者認識自動ブレーキやACCなど10種類の安全装備のほか、本革、助手席パワーシートなど、約50万円のオプションを追加した上で、ベースモデルよりも約20万円安くしてしまったという、「超・お買い得」なモデルだ。

セダンの「S60 LE」は399万円、ワゴンの「V60 LE」は419万円。ユーザーにとってみれば「超・お買い得」だが、普通に考えれば赤字、そうでなくとも併売されるベースグレードである「T4 SE」の販売減につながるのは、素人目にも明らか。なぜ、そんなLEが投入されたのか。

「とにかく、S60、V60を沢山売りたい」と話すのはボルボ広報。

「メルセデスベンツ CクラスやBMW 3シリーズに対抗できる商品力がある。さらにボルボには、他ブランドの同価格帯モデルでは実現し得ない先進安全装備のフル装備という強みがある」。

直接の競合と想定するのは、メルセデスベンツ『C180 エディションC』(446万4000円)、BMW『320i』(477万円)、アウディ『A4 2.0TFSI』(453万円)。これに対しボルボ『S60ラグジュアリー・エディション』は、399万円。単純に価格だけでも、40万円から80万円近くの差がある。

さらにボルボには、装備の利がある。LEには、車両検知・人検知の自動ブレーキ、アクティブ・ペンディングライト、フル・アクティブハイビーム、本革シート、パドルシフト、ACC(アクティブ・クルーズコントロール)などが採用される。一方、例えばA4であれば上記装備は標準では一切なし、本革、ACCは両乗せで約35万円の追加となるほか、320iなら人検知自動ブレーキ、フル・アクティブハイビーム、本革は設定がなく、その他の追加で約28万円の増となる。

「同じ土俵で、まずは比較してもらいたい。比較してもらえれば、十分狙い通り」(ボルボ広報)。そのためには、「ここまでやる必要があった」。

また、昨年発売し、現在のボルボの目玉車種となっている『V40』目当てで販売店を訪れるユーザーにも、アップグレードを訴求する狙いがある。同じ1.6リットルエンジンを搭載する「V40 T4 SE」は338万4000円。ナビやオプションを装備すると約40万円の追加となり、これらを標準装備するS60 LE/V60 LE も視野に入ってくるというわけだ。

V40の国内販売がまもなく1万1000台に届くという。この好調の波を維持したいボルボ。今回の意欲的な特別仕様車で主力モデルの知名度、そして歴史あるボルボの先進安全技術をアピールし、秋口に予定されているというS60/V60 の2015年モデル投入に向け気運を高めたい考えだ。

《宮崎壮人》

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