日本マリンエンジニアリング学会は、「環境配慮型曳船(ハイブリッド・タグボートシステム)の開発」をマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2013に決定した。
マリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤーは、舶用機関・機器および海洋機器、関連マリンエンジニアリング分野の優れた技術を賞するもので、日本マリンエンジニアリング学会によって制定されたもの。
第10回となるマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2013に選定された、タグボートシステムは国産初のプラグインハイブリッド推進システムとして開発され、タグボート搭載は世界で4例目になる。
運用時30%以上の燃料消費量削減、27%のCO2排出量削減(充電時の陸電CO2を含む)、30%のNOx排出量削減を実証している。
加えて、モータ使用時の騒音は同速度の既存システム比で20%低減している。当該システムの大気環境負荷の低減及び省エネルギー性能は卓越しており、このような舶用ハイブリッドシステムを開発したことが授賞理由の重要な部分に該当する。
さらに、本システムは主機関とモータ、ディーゼル燃料とリチウムイオン電池という推進系の冗長性を活かし、負荷変動に追従できる高い性能を有している。タグボートは船体に対して相対的に出力が大きい推進用主機関を有しているが、稼働時間の多くは低負荷運転で使用される。推進システムの高効率化と実際の運転状況を考慮すると、低負荷時に電気推進へ切り替えることができるハイブリットシステムの導入は、タグボート運航の特殊性と整合した技術開発と言える。
本船 (「翼」256t)は、日本海事協会の「業界要望による共同研究」支援を受け、 京浜ドック が建造し、2013年3月に横浜港に就航した。現在、ウィングマリタイムサービスが本船を運航している。
表彰式は、日本船舶海洋工学会のシップ・オブ・ザ・イヤーの表彰とともに、海事三学会合同表彰式として7月30日に海運クラブにおいて行われる。